7月12日、大阪商工会議所は、グランフロント大阪のコクヨ梅田ショールームにて「未来のウエルネス(※)実装ネットワーキング」と題したイベントを開催しました。

ウエルネス分野は、2025年大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」でも大きなテーマとして掲げられており、注目度が高まっている領域です。

当記事ではイベント当日の模様を報じながら、活況な様相を見せる関西のウエルネス分野の最前線をお伝えします。

※日常生活の中で、カラダやココロ、アタマの状態の変化に気づき、必要となる行動変容が促され、無理することなく運動や睡眠、食事などの習慣が改善される状態
(引用:大阪商工会議所 プレスリリース)

万博開催を控えた関西に、スタートアップから大企業まで集結

イベント会場「コクヨ梅田ショールーム」の様子

今回のイベントには、ウエルネスビジネスの構築を目指す企業が全国から集結。参加の目的に応じて以下のように分類されていました。

コンテンツ企業:ウエルネス関連のプロダクトを有し、実装(実証)場所を探している企業
空間企業:ウエルネス関連プロダクトの実装を通して、空間の付加価値向上を目指す企業
シーズ企業:ウエルネス関連プロダクトを取り入れ、自社ビジネスの拡張を模索する企業

イベントの開会挨拶には、大阪商工会議所でスポーツ産業振興委員長を務める山田 邦雄氏(ロート製薬株式会社 代表取締役会長)が登壇。『万博が間近に迫るなか、日本の新しい産業としてのウエルネス産業を、ここ大阪から巻き起こしていきたい』と、イベントへの高い期待感を示しました。

会場には総勢145社328人(速報値)が足を運び、至るところで活発に意見が交わされる様子は、参加企業のモチベーションの高さを感じさせるものでした。

医療・ヘルスケア分野も多様な事業展開へ

同イベントの大きな目的の一つが、「事業共創に向けたネットワーキング」です。実際に、優れたプロダクトを持つスタートアップとのコラボレーションを期待する声が大企業からも挙がっていたといいます。

今回の開催場所を提供したコクヨ株式会社は、『この空間(ショールーム)や実際のオフィスで、スタートアップのコンテンツを使った実験に取り組みたいと思ってイベントに臨んでいます』と語り、自らも空間企業として参加しました。

一方、ウエルネス関連のプロダクトを持つスタートアップにとっても幅広い事業展開のきっかけを得ることは重要なテーマです。

株式会社ORPHEは、センサーを内蔵した「スマートフットウエア」などのウエアラブル機器と、取得したデータを活用するプラットフォームを開発する企業。同社は、速度、歩幅などの歩き方の特徴(歩容)を数値化して、健康指標の一つとして活用する取り組みを行っています。

『当社の製品は、スポーツや医療の現場などに向けて提供しています。センサーから取得できるデータは、未病段階の予防やメンタルヘルスの測定といった分野にも幅広く応用できます』と語り、新たな提携先の開拓を目指しています。

ORPHEの「スマートフットウエア」と、後付け型のセンサーデバイス


株式会社OUIは、スマートフォンのカメラを利用して眼の診断ができる医療機器「Smart Eye Camera」を開発しており、同機器はすでに訪問診療や遠隔診療などの現場で導入されています。

『われわれの技術を使えば、簡単なオペレーションで早期発見・早期治療につなげることができます。目の病気が重要な問題となる移動交通に関わる業界や、パソコン作業で目を酷使する機会が多い業界など、幅広い企業と実証実験をできないかと考えています』と、新たな展開も視野に入れていました。

OUIの「Smart Eye Camera」で測定する様子