7年に及ぶ損保ジャパンとの闘い
事故に遭わなければ、知ることのない保険業界の不可解なルールがある。損保ジャパンと約7年にわたる弁護士を交えた論争をしてきた交通ジャーナリストのジャンクハンター吉田氏に自身の経験を聞いた。
【吉田氏の証言】
私が事故に遭ったのは、20007年12月、東京都千代田区岩本町の靖国通りをバイクで横断しようとしていた時でした。右方向から信号無視した乗用車が直進してきて、とっさにハンドルを切って、植え込みに頭から突っ込みました。
頭から地面に落ち、頚椎と右腕、右足を強打。東京大学付属病院に運ばれました。現場で乗用車の運転手さんは信号無視を認めていました。残業明けで、意識がもうろうとしていたとおっしゃっていました。事故後に謝罪にも来て頂きました。過失割合は10:0ということでしたが、警察は損害に関しては民事なので介入しないとのことだったので、相手側の保険会社である損保ジャパンと交渉することになったんです。
当時、私は編集プロダクションで雑誌付録のDVDの制作をしていました。バイクには仕事で使うDVDと業務用のカメラを積んでいたのですが、すべて全壊しました。首の怪我はかなり重く、右半身にマヒが出ていました。歩くのもおぼつかない状態でした。
バイク店に「安くしろ」
まず、事故で壊れたバイクの修理費の見積もりを出してほしいということだったので、10数年前から懇意にしていたバイク屋の店主にお願いしました。ところが、数日後、バイク店の店主から驚きの連絡があったのです。『保険会社の担当者が修理代の見積もりが高すぎる。安くしろと言ってきている。こんなことは長年バイク店をやっていて初めてだ』。
修理費と工賃で約38万円だったと思います。すぐに損保の担当者に電話をして事実関係を問い合わせたところ、「そんなに高いとは思わなかった」と言うんです。
そもそも38万円も出せば、新しいバイクが買えるので、改めて新車購入費用を担当者に求めたのですが、今度は「そんな予算はない」という返答でした。予算とはいったいなんのことなのか。さっぱりわかりませんでした。挙句の果てに、前出のバイク店の店主に対して、「でも吉田さんは別に車とぶつかっていないですよね。高すぎます」と言い始めたんだそうです。