クオータ制の後押しを受けて、多くの国で女性議員の増加が勢いづく一方、日本は置いてきぼり。世界の国会(二院制では下院)における女性議員比率のランキングによると、日本は193カ国中164位、もはや「ガラパゴス」である(IPU Parline, as of 1 July 2023)。
こうした世界の動向を尻目に、わが政界といえば、野党の中に女性候補者を積極的に擁立する動きもあるが、総じて熱量は低い。だとすれば、オーストラリアの株主のように、有権者が政党に女性議員の増加を強く迫ることを期待したいところだ。
もっとも、この点について、私は長らく懐疑的であった。日本の有権者は女性も含めて、女性議員の積極的な増加に関心が薄いと感じてきた。たとえば、2004年に内閣府が実施した全国の20歳以上5000人を対象にした世論調査(有効回答者数3,502)では、政党がクオータを実施することに賛成した者は20.4%であった。
一方、2020年11月に日本財団が18歳〜69歳の全国1万人の女性に行った調査によると、62.2%が女性議員は少ないと回答し、女性政治家増加が必要と答えた者も63.7%であったが、クオータ制やパリテ(候補者を男女同数にする)の導入には賛成35.5%、反対14.1%、わからない50.4%であった(「1万人女性意識調:第2回テーマ「女性と政治」)。
ところが、最近こうした有権者の意識、少し変わりつつあるように思われる。まず個人的な経験として、女性問題には全く関心がないような男性諸先輩から立て続けに、「クオータを導入して女性議員を増すべきだ」と言われ、驚かされた。女性議員に政治の変化を期待しているような印象を受けた。次に、この4月の衆参両院の補欠選挙における女性の台頭である。女性候補者が衆議院補選の4つのうち2選挙区で議席を獲得、参議院大分区でも勝利した。
なかでも、注目したのが、いずれも自民党新人で辛くも勝利した千葉5区の英利アルフィア氏と参議院大分選挙区の白坂亜紀氏だ。前者には「政治とカネ」で自民党に逆風が吹き、後者は村山富市元首相の出身地、野党が強い地域である。自民党の票が伸びなかったと批判する論調も多かったが、私はむしろ薄氷の勝利であり、それは“手垢のついていない”女性候補者がもたらしたとみる。
これから女性は勝てる候補になるのではないか、そんな気がする。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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