「通名」が差別を生み出した
さらに戦後処理で、日本政府が朝鮮人の日本国籍を一方的に抹消したため、多くの在日韓国人が特別永住者という宙ぶらりんの扱いのまま今日に至っている。日本に居住しながら日本国籍を取らない在日韓国人もおかしいが、そういう状況を作り出した戸籍制度にも問題がある。
戸籍で本名を義務づけているのに、日本式の名前にしないと差別されるので「通名を使わせろ」といわれると行政も弱腰になり、一部の在日がそれを悪用する。それをネトウヨが「在日特権」と非難する。
おかげで韓国人の名前についての執着が異様に強くなり、これがさらに問題を複雑にした。ニュースで中国人の名前は日本式に「シュウ・キンペイ」と読むのに、韓国人は「パク・クネ」と読む(NHKはカタカナ表記)のも、在日の抗議を受けたためだ。
日本人も含めて、このような姓への異様なこだわりは、戸籍制度の生み出した弊害である。選択的夫婦別姓に反対する自民党右派は、同姓が「夫婦の一体性」を保障するという意味不明の議論をしているが、すべて別姓の中国の夫婦はどうなるのか。
マイナンバーカードをいやがる人の一つの理由も、戸籍上の本名を表記することだろう(通名の併記も可)。創氏改名の忌まわしい記憶が「国民背番号」への拒否感を生み出した。これを機に通名を廃止して本名に一本化し、差別を生み出す戸籍制度も廃止してはどうだろうか。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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