高温や熱風は子供、高齢者、既往症の人々にとって熱中症や心血管虚脱などのリスクがある。ウィーンはクールダウン策を実施し、最近では市内300カ所にミストシャワーを設置し、冷却ゾーンをつくっている。そして中長期計画として、公園で植林、樹木を増やしていくという。

当方はこのコラム欄で数回、夏の暑さ対策として「幽霊」の話をした。この分野は当方の得意とする世界だが、幽霊など信じない人が増えてきた。そこで実際的な助けとして、夏のシーズンにウィーンを訪問した観光客向けに市内でどこが最も涼しいかを書いた。古いキリスト教会内だ。幽霊もでるかもしれないが、教会内はひんやりしている。一休みのために最寄りの教会の中に入って30分も座っていれば、汗は吹っ飛んでしまう(「猛暑を少し和らげる『幽霊の話』」2018年7月24日参考)。

キリスト教会の聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発して、教会に通う信者の数は年々、減少してきたが、夏のシーズンに入ると、信者ではないが、避暑のために教会建物に足を踏み入れる人が結構見られる。教会の神父さんも「教会で一休みしていきませんか」と宿屋の主人のように行きかう客に声をかけている、というわけだ。

しかし、正直言って、幽霊も教会内も今年の暑さにはどれだけ役に立つかは自信がない。当方は過去、2回、40度以上の灼熱を体験した。ひょっとしたら、3度目の体験をウィーンでするかもしれない。

オーストリア大衆紙が「暑さ対策にはシエスタで乗り越えよう」と書いていた。シエスタ(Siesta)はラテン語で、スペインなど南欧では「昼寝」を意味する。当方はここ数日、シエスタを実践している。確かに、昼食後、1時間から2時間ほど休むと、疲れが取れるが、長く寝過ぎて貴重な午後の時間を失ったしまったこともある。いずれにしても、先述したように、ここ暫くは「夏の暑さにも負けぬ丈夫な体……」と唱えながら秋の訪れを待っている日々だ。

【編集後記】

スウェ―デンで15日開催予定だった、イスラエル大使館前でのトーラーと聖書を燃やす抗議デモは開始直前になって中止された。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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