スウェーデンの首都ストックホルムの警察はユダヤ教とキリスト教の聖典を燃やすデモ(7月15日)を許可した。デモ主催者は2週間前のイスラム教の聖典コーランを燃やした抗議デモに対抗する目的で、今度はイスラエル大使館の前でユダヤ人の聖なるトーラーとキリスト教の聖書を焼くというのだ。

スウェ―デンの建国記念日、2023年6月6日はグスタフヴァーサが国王に選出され、スウェーデンが独立してから500年目(スウェーデン観光局公式サイトから)

カリナ・スカーゲリンド警察広報官は、「許可は公にトーラーと聖書を焼くためのデモ申請に関するものではない。言論の自由に基づいて意見が表現される集会として許可しただけだ。両者には重要な違いがある」と説明した。ただし、デモ関係者の説明によると、「デモの申請書にはトーラーと聖書の写しを焼くと報告している。2週間前のコーランの焼却に抗議するための、言論の自由の表現だ」というのだ。

警察当局がトーラーを焼くデモ集会を認可したことが報じられると、イスラエルと世界のユダヤ教団体から激しい批判が飛び出した。イスラエルのヘルツォグ大統領は、「聖典の焼却を厳しく非難する」と述べている。「シオニスト世界機構」のヤアコブ・ハゴエル議長は、「警察の許可は『言論の自由』ではなく、反ユダヤ主義だ」と非難している。

このコラム欄でも紹介したが、警察は2週間前の6月28日、イスラム教の聖典コーランを燃やす抗議デモを認可した。スウェーデンに亡命したイラク人のサルワン・モミカ(37)はイスラム教の犠牲祭の最初の日、ストックホルムの主要モスクの前でコーランの写しを何度も踏みつけ、スウェーデンの旗を振るという抗議デモを行った。警察は、この行動を「言論の自由」として許可したのだ。ちなみに、警察当局は後日、モミカがモスクに近い場所で焼却を行ったため、「民族集団に対する扇動」容疑で捜査を開始した。