湘南に必要なひと工夫

J2リーグ降格圏脱出に向けて湘南が突き詰めるべきは、自陣後方からのパスワーク。ウイングバックが自陣後方の大外のレーンや味方センターバックとほぼ同列の位置でボールを受け、相手のハイプレスの餌食となる悪癖は改善されたが、依然として3バックから中盤へのパスコースが少ない現状だ。

この問題が浮き彫りになったのが、前半11分の湘南の攻撃シーン。この場面ではDF舘幸希が自陣右サイドでボールを保持したが、基本布陣[4-4-2]の福岡の2トップ(山岸祐也とウェリントンの両FW)と中盤の間へタイミング良く降り、パスを受けようとする湘南の選手がおらず。MF阿部浩之(2トップの一角)が舘からのパスを受けようとしたものの、立ち位置が福岡のMF前寛之と近すぎたため、同選手にパスをカットされてしまった。

前半31分の湘南の攻撃シーンでも、自陣左サイドでボールを保持したDF山本脩斗がパスの出しどころに困り、賭けに近い縦パスを繰り出す。これをまたしても福岡MF前にカットされ、アウェイチームの速攻が始まってしまった。

これら2つの場面に共通しているのは、湘南の3バックからMF奥野耕平(中盤の底)へのパスコースを福岡陣営に塞がれていたこと。後半15分以降にMF山田直輝が自陣後方や奥野の脇へ降りたことで、湘南のパスワークに改善の兆しが見られただけに、同クラブとしては同選手のこの動きから着想を得たいところだ。3バックから中盤の底へのパスを封じられた際の新たなパスルートの開通が、湘南が今すぐ着手すべき課題だろう。