株主優待株投資とは、企業からの優待を楽しむことを趣旨とする投資方法だ。最近では優待株の値上がり益を得るための投資法までを含めて、優待投資と呼ばれている。

もともとは証券ディーラーで、現在は株主優待投資家の筆者が、実際にもらった優待を実施している企業の紹介をしていく。

今回は、関門海 <3372> を以下の項目別に紹介していく。

  1. 関門海ってどんな企業?
  2. 関門海の優待はどんな点がおすすめ?
  3. 関門海の最近の事業展開は?
  4. 関門海の業績と財務は?

1. 関門海ってどんな企業? 株主優待内容は?

関門海は「玄品ふぐ」というふぐ料理専門店などを事業として運営している。冬場に利益の大半を稼ぐ事業スタイルだ。最近では、アジア圏の観光客取り入れのための施策を行うなどインバウンド関連企業としての側面を持っている。投資家から人気のあった優待は廃止となっていたが、2015年に復活させている。

※優待内容(2017年1月末時点)

100株保有で1000円相当の食事割引券 
300株保有で3980円のコース料理食事券1枚 
600株保有で3980円のコース料理食事券2枚 
1000株保有で3980円のコース料理食事券3枚 
(3月末・9月末の年2回) 

2. 関門海の株主優待はどんな点(どんな人)がおすすめ?

関門海の優待は、実際に店舗にいってフグ料理を割引してもらうか、コース料理を丸ごとプレゼントしてもらうという豪華なものだ。また関門海の店舗がない場合には、追加料金を支払うことで自宅に「ふぐの鍋セット」を届けてもらえる。

おすすめポイントとしては「利回りの高さ」がある。100株から優待をもらうことができるが、その場合1000円の割引券をもらうことができる。ただし300株保有にした場合には、3980円のコース料理の食事券を丸ごとプレゼントしてくれる。しかも3月と9月の年2回もらうことができるので、300株保有の際の優待利回りは7.2%と非常に高い水準になる。もちろん料理も満足できるおいしさだ。

おすすめできるのは、家族連れや夫婦、カップルだ。場所柄のためか、おひとり様では少々足を運び辛いかもしれない。またフグ料理という渋いチョイスなので、同僚を誘って飲み会などに使用してもよいだろう(その際には、同僚にも優待権利取得をしてもらうことを忘れずに)。筆者も実際に行ってみたが、家族連れと海外からの観光客が多い印象だった。 

3. 関門海の直近の事業動向と今後の展開

ふぐ料理は鍋物がメインなので、閑散期対策としてウナギ料理を始めている。また、少し前にはホテル運営を手掛けるコアグローバルマネージメントとの提携を発表している。同社はタイ、台湾といったアジアの旅行代理店と直接話をして、旅行商品を作る際に同社のホテルを組み入れることが可能だ。

顧客を関門海のサービスに触れさせることで、同社の成長戦略のひとつであるインバウンド需要取り込みを加速させることが目的だ。

また、最近になってホテル、不動産などの投資事業を営むストライダーズ <9816> が、関門海の優待を自社の優待として取り入れることを発表している。ストライダーズは今話題のカジノ関連企業としての側面も持っている。

さまざまな企業との提携によって、多角的な需要を取り込もうという試みがみられる。 

4. 関門海の業績と財務は?

【業績】  
会社計画は17年3月期、18年3月期ともに売上高は伸び悩むも、営業利益、純利益ともに伸長予定。事業立て直しを見据えて投資している時期。既に発表されている第2四半期決算によると、17年3月期に向けて既存の店舗閉店の影響から売上高は前年度比で20%程度減少し、純利益も2億6000万円の赤字から3億5000万円に拡大。近く発表される第3四半期決算での利益巻き返し報告が待たれるところ。

【財務】 
財務は、以前に比べて上向いているとはいえ、いまだに脆弱といわざるを得ない。株主からの借り入れの比率を見る自己資本比率(通常70%以上で健全度が高いといわれる)は12.3%程度である上、利益剰余金もマイナスに落ち込んでしまっている。ただ、りそな銀行と融資枠契約の締結を行い、有利子負債の全額借り換えを行ったことから、支払い利息が半減していることは利益押し上げに寄与していくとみられている。今後は財務の健全性を上げる企業努力が望まれる。 
関門海は投資対象としてどうなのか?
純粋に優待をもらって楽しむ投資先としてみれば、使い勝手の良さと利回りの点で十分に魅力のある銘柄だといえそうだ。

業績、財務面の安定度でいえば若干の不安があるように思えるが、すでに紹介したように他企業との提携を積極的に行ったり、採算に合わない店舗を廃止する一方で富山に新規出店したりするなど、業績立て直しに向けた動きがみられる。

第3四半期決算の内容によって、業績回復傾向がはっきりとみられるようなら、優待投資として今後の株価の値上がりを期待してもよさそうだ。

文・谷山歩(たにやま あゆみ)/ZUU online

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