住民の「タワマン離れ」は「見栄の張り合い」と「健康問題」から起こっている
タワマン住民がタワマンを離れるケースについても榊氏に聞いてみた。タワマン住まいを後悔し、退去に至る理由は主に2つあるという。
「よく聞くのは住民トラブルと健康問題です。前者は、タワマン住民の一部に意識されている『階層ヒエラルキー』が原因となっているようです。東京湾岸や川崎市の武蔵小杉など、エリートサラリーマンやパワーカップルでも手が届くタワマンを好む人のなかには見栄っ張りが少なくありません」
子育て世帯は幼稚園や学校を通じて親同士のつきあいが発生する。その『子育てコミュニティ』において、より高い階数、より広い間取りに住むママ友に対して劣等感にさいなまれた女性が、引っ越したいと言い出し家庭内で激しい言い合いになったり、あげくに退去したりするケースがあるというのだ。メンタルが弱い人はタワマンに向いていない、ということなのだろうか。
「健康問題というのは、高層階での生活が体質に合わない人がいるようです。タワマンは免震構造のため、上層階では気づかない程度のわずかな揺れが常に発生しているといわれます。強風や地震が起きると、もちろん低層マンションより大きく揺れます。そのため、三半規管が弱い人は体調を崩しやすくなることがあるのです」(榊氏)
湾岸タワマンの近くで開業している内科医によると、タワマン住まいの子どもは耳の病気になりやすいという。これはあくまでもその医師の実感で、大規模調査などのエビデンスがあるわけではない。とはいえ、このような話は引きも切らず耳に入ってくると榊氏は語った。