DOHCで可能になった「可変バルタイ」とは

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バルブタイミングとは、吸排気バルブの開閉時期のことを指します。
一般的に4サイクルエンジンでは、吸気と排気の行程でバルブが開閉しますが、その行程とバルブの開閉タイミングは同時ではありません。簡単に言うと、空気は吸気バルブが開いた瞬間に燃焼室内に流れるわけではないのです。
そこで、効率よく空気を送り込むためにピストンが上死点(クランク機構で回転力が発生無い地点の最も高い位置)に達する前にあらかじめ、吸気バルブが開くようになっています。
逆にピストンが下死点に達して上昇する時、空気は慣性の法則によって、燃焼室に流れ込むため、吸気バルブはピストンが下死点を過ぎた後に閉じるよう調整されています。
基本的なバルブタイミングは前述のとおりですが、これを走行状況に合わせて調整するのが可変バルブタイミング機構です。
これはバルブの開閉タイミング、リフト量を変化させ、効率よい燃焼を実現する仕組みであり、開発当初は吸気側だけに採用されていました。現在では排気側にも採用されることが多く、より効率的な燃焼を行うことができるようになりました。
代表的なものに、ホンダのVTECがあります。油圧でピンを動かすことで、エンジンの低回転時にはバルブの開きを少なくし、高回転時にはバルブの開きを大きくして出力を大きく高める構造です。
エンジンバルブが車のパフォーマンスを左右する?役割と仕組みを解説
かつては高嶺の花、今はあたりまえのDOHC

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1970年代は、一部のスポーツカーにしかDOHCエンジンは搭載されていませんでした。
それが、1972年にカローラとスプリンターにクーペモデルが設定され、カローラレビン、スプリンタートレノとして登場した際にDOHCエンジンが搭載されます。小型大衆車であるカローラにDOHCエンジンが搭載されたことは、当時大きな話題になり、軽量ボディに高出力のエンジンは、スカイラインやセリカといったスポーツカーよりも速いと言われ、大きな人気を呼びました。
そこから50年後の現在では、DOHCエンジン以外の車を探す方が難しいほどまでに普及しました。コスト高で技術的にも難しいと言われていた時代を乗り越え、今では低コストで使いやすい技術にまで昇華させたのです。
自動車のエンジンの変遷を見ていくと、日本の技術がどのように進化してきたのかを感じることができます。
近年では予防安全技術のような先進技術に目が行きますが、エンジンも毎年のように進化を続け、今では当たり前になった高出力と低燃費の両立がなされているのです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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