アザラシと聞けば愛くるしいあの姿を思い浮かべることも多いと思います。
ただし、そんなアザラシの仲間の中で最も巨大なゾウアザラシは存外恐ろしい動物だったりします。
時にはライバルと争って血を流したり、時には人間の前に立ちはだかって地面を揺らしたりと力強い姿を見せます。
ゾウアザラシは2種類いる
ゾウアザラシはネコ目アザラシ科に属する動物で、キタゾウアザラシとミナミゾウアザラシの2種類がいます。
アザラシの仲間としては最も大きい種類であり、その名の通りゾウのように大きい体と鼻を有しています。
狩猟によって生息数がかなり減ったものの、近年は回復してきています。
ちなみに、ゾウアザラシ全体の平均的な大きさとしては、オスだと体長約4.5mで体重約2000kgほど、メスだと体長約2.5mで体重約500kgほどと言われています。
キタゾウアザラシ
ゾウアザラシの中でも、キタゾウアザラシはゾウを特に彷彿させる姿となっています。
体長・体重
キタゾウアザラシのオスの体長は平均3.8mです。
メスの平均が2.5mなので、オスメス間の体格差は非常に大きいのが特徴となっています。
また、体重はオスが平均1,800kgほどで、メスは平均650kgほどとなっています。
オスメス間で2倍~3倍近く変わることもあり、他の生き物に比べても性差の大きな動物なのです。
生息地
キタゾウアザラシは、北アメリカ大陸の西部に生息しています。
アメリカのアラスカ州からカリフォルニア州、カナダやメキシコの一部にも生息しています。
ミナミゾウアザラシ
ミナミゾウアザラシはキタゾウアザラシのようなゾウを思わせる鼻はしていませんが、成長していくとゾウのような巨体となります。
体長・体重
ミナミゾウアザラシの方がキタゾウアザラシよりも更に巨大な体をしています。
オスの体長は体長4〜5m、最大のものだと約6.5mになります。
体重は約5,000kgに達することがあります。
メスはオスに比べてかなり小さく、3mほどとなっています。
身体の大きさに関するオスメス間の差は非常に大きいとされています。
生息地
ミナミゾウアザラシは、主に亜南極圏に生息しています。
特にサウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島が最も大きな繁殖地とされています。
他にもオーストラリアやニュージーランドなどオセアニアの南部、アルゼンチンなど南アメリカ大陸の南部にも生息しています。
よりゾウっぽいのはキタゾウアザラシ
ゾウアザラシという名前からして、この分類に入るアザラシはどれもゾウのような見た目をしているのかと思うかもしれません。
しかしミナミゾウアザラシは超巨大なアザラシというだけで、ゾウのような見た目はしていません。
もちろんゾウのような巨体ではありますが。
それに対して、キタゾウアザラシはゾウを彷彿させるような巨大な鼻を持っています。
ゾウアザラシの喧嘩は大迫力
ゾウアザラシは一見するとおっとりしていそうなですが、一度喧嘩が始まると手に負えません。
喧嘩というよりは厳密には子孫を残していくための闘いなのですが、その闘いはまさに死闘なのです。
ゾウアザラシの喧嘩が激しい理由
まずは以下の動画で、ゾウアザラシの喧嘩がいかに激しいかをチェックしてみましょう!
動画はこちら
お互いにその巨体をぶつけ合うので、非常に高い攻撃を受けていることになります。
ゾウアザラシのオスは非常に排他的で、オス同士のメスを巡る闘いはどちらかが死ぬまで続くと言われています。
鈍足のためか回避したり逃走したりする姿はあまり見られず、「力比べ」をして勝敗を決める他の動物とは違って、本当に双方血まみれで噛み合う生々しい死闘を繰り広げます。
なぜこのような戦いを繰り広げるのか、それはゾウアザラシの社会構成に関係しています。
ゾウアザラシの社会では、メス単体ではなくメスの群れを巡って闘う習性があります。
勝利した方はその群れすべてのメスと交尾できるため、文字通りに生涯をかけた闘いとなります。
喧嘩に負けると一夫多妻制のハーレムと呼ばれる群れから追い出されるので、絶対に負けられない闘いなのです。
血を流す死闘となるその争いで時に命を落とすゾウアザラシもいるそうです。
ゾウアザラシが荒ぶる様子
人間の前に立ちはだかるゾウアザラシの映像もあるので、そちらもチェックしてみましょう。
動画はこちら
のしかかられている車と比べるといかにゾウアザラシが大きいか分かるのではないでしょうか。
車にのしかかるだけで大きく揺れています。
これが人の身に直接なんてことがあったら恐ろしいなんてものではありません。
人を襲うような動物では無いとされていますが、もし海外で遭遇した場合は直ちに逃げてしまいたくなりそうです。
足が遅いと油断して見物していたら・・・なんて絶対に嫌ですよね!