昨日8月11日は祝日「山の日」でした。8月12日にも休みをとって、既にお盆休みに突入している方も多くいます。
コロナ禍の約2年半を経て、国内旅行者の行動にはどんな変化が現れたのでしょうか。本記事では、旅行に関するアンケート調査や、各交通機関の予約状況などを参照しながら、今年のお盆休みの国内旅行を展望していきます。
お盆旅行の予定を立てた人はどれくらいいた?
株式会社ウェブクルーは2022年6月、自社が運営する比較サイトの過去利用者1,818人に対して、「帰省・旅行時の交通手段および交通費に関する調査」を実施しました。
その結果、50.6%の人が「今年の夏休みに帰省や旅行など、出かける予定がある」と回答したことがわかりました。
この質問に「はい」と回答した人に対し、具体的な行き先を質問したところ、最も多かったのは「観光地」で、46.7%を占めました。2位は「帰省」で36.9%、次いで「温泉・サウナ」、「山や海など自然豊かな場所」と続きました。
約半数の人がお盆中に出かけることを予定しており、さらにそのうち約半数が観光地への旅行を計画していることがわかります。昨年までと比べても、国内旅行を楽しみたいという人は回復してきたといえます。
また3,4位には「温泉・サウナ」「山や海など自然豊かな場所」と、比較的密集を避けて楽しめるスポットがランクインしたというのも、今年のお盆の特徴を表しているといえます。
一方で他の調査では、これとは若干異なる結果が示されています。
コネヒト株式会社は7月31日から8月2日にかけて、自社のサービス利用者1,555人に対して、「2022年の夏休み・お盆シーズンの過ごし方に関する調査」を行いました。
調査の結果、「今年の夏休み・お盆にそもそもの帰省・旅行の計画をしていない」と答えた人は、全体の64.6%にのぼりました。そして「帰省予定」または「旅行予定」と回答した人の合計は、全体の30.9%にとどまりました。
この2つの調査の結果の違いは、調査の対象となった層の違いや、調査時期の違いなどによってもたらされたものだと考えられます。
概して、今年のお盆期間に旅行をする人としない人の割合は、およそ半々であるといってよいと考えられます。
また全体のうち「昨年帰省しなかったが、今年の帰省を決めた」と回答した人に対して、その決め手を聞いたところ、最も多かったのは「今後いつ規制できるか分からない」の36.5%でした。そして次に多かったのは「行動制限なし」の19.7%でした。
この結果から、政府から緊急事態宣言などによる行動制限が出されていないことが、人々の旅行に対する考え方を前向きに動かしたといえます。
各交通機関の状況は?
新幹線は前年比大幅増も、コロナ前には遠く
次に、各交通機関のお盆期間の予約状況をみていきます。
まずは新幹線です。各地で前年度比で2倍から3倍の予約状況となっています。前年比の伸び率が最も少ない東北新幹線でも242.9%の増加をみせました。
しかしコロナ前の2018年と比べると、予約状況は軒並み6割程度にとどまっています。ピーク時に混雑が予想される新幹線は、感染症予防の観点から、客足の完全回復には時間がかかると考えられます。
国内線予約はコロナ前の7~8割まで回復
新幹線と比べると、飛行機では需要回復が好調に進んでいます。
日本航空(JAL)のお盆期間の予約状況は、前年比では192%に増加し、2019年度比でも84%まで回復しました。全日本空輸(ANA)も同様に、前年比では166%に増加し、2019年比でも74%となりました。
飛行機は新幹線と比べると、混雑状況の見通しも立てやすく、密集した状況も避けやすくなるために、需要の回復が早くなっていると考えられます。
高速渋滞は前年比大幅増、コロナ禍で車移動が増加
一方でコロナの影響を受けにくいのが、車での長距離移動です。
ネクスコ中日本が発表しているお盆期間の渋滞予測によると、8月10日から16日の間に、10km以上の渋滞は353回発生すると予測されています。
昨年の8月6日~8月16日までの、10km以上の渋滞回数は82回であったため、回数としては4倍以上に増加すると予測されていることになります。2019年の8月8日~8月18日でも同数値は476回であったため、コロナ前の75%まで渋滞回数は戻っているということになります。
先ほども参照した、株式会社ウェブクルーによる「帰省・旅行時の交通手段および交通費に関する調査」では、コロナ禍の前後で、帰省や旅行に使う交通手段がどう変化したかが調査されています。
コロナ禍前には、帰省や旅行のおもなな交通手段として「車」と回答した人は全体の65.2%でしたが、コロナ禍後には同数値は92.4%まで増加したという結果になりました。
自家用車での移動には、公共交通機関と比べて「不特定多数の人と接触せずに済む」という利点があります。その特長がコロナ禍の「密回避」の傾向とマッチした結果、車での帰省や旅行が大幅に増加したのだと考えられます。