カリスマ投資家のポートフォリオをチェック
有名な投資家のポートフォリオは世界中から注目されており、特に世界三大投資家のポートフォリオは多くの投資家がチェックしている。運用額の大きい機関投資家はポートフォリオの提出が義務付けられており、それをインターネットから簡単に見ることができるのだ。
資金力の差や、実際の投資とポートフォリオ提出時期にはタイムラグがあるのでそのまま真似できるわけではないが、今後の判断の参考にはなるだろう。 グローバルな投資の世界には、グル(GURU)とも言われる多くのカリスマ投資家が存在する。グルの発言や相場の見方は、市場を動かすパワーを持っている。ウォーレン・バフェット氏、レイ・ダリオ氏、ジョージ・ソロス氏などがその代表だ。
グルの投資は、決して奇をてらったものではない。ファンドが大きく、小型株や仕手株を組み入れる余地がないためで、個人投資家にも大変参考になる。グルのポートフォリオの調べ方をご紹介しよう。
世界の金融市場を動かすグル
彼らがグルと言われる理由は、そのパフォーマンスがいいからに他ならない。世界中の投資家が、彼らのポートフォリオをウォッチしている。たとえば、ソロスのファンドが2016年のBREXIT(英国のEU離脱)時にドイツ銀行の株を700万株空売りして大儲けしたことや、トランプトレードでは空売りで約10億ドル(1120億円)の大損をしたことなどは世界中の金融関係者の間でビッグ・ニュースになった。
バフェット氏はクリントン支持派だったにもかかわらず、大統領選以降、株を120億ドル(約1兆3500億円)買ったことも話題となった。
ウォーレン・バフェット氏は割安株投資で、世界一とも言える資産を一代で築いた。CEOをつとめる米バークシャー・ハサウェイ社は持ち株会社として上場しているが、実態は投資会社にほかならない。
時価総額は5300億ドル(約59兆円)を超えており、マイクロソフト、アップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトに次ぐ世界5位(2018年1月末時点)。
日本で一番時価総額が高いトヨタ自動車の倍以上の規模だ。16年3月末のポートフォリオで、同社が初めてアップルを購入したことが話題になった。バフェットは、自分の分かるもの以外買わないことをポリシーにしており、ハイテクのポジションは少なかったためだ。6月末にはアップルを買い増したことが報じられた。
レイ・ダリオ氏は世界でもっとも大きなヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエイツの創業者。ファンドが1695億ドル(約19兆円)と巨大で、グローバル・マクロ系で100人以上のアナリストを擁している。膨大な資金で短期売買を繰り返すヘッジファンドとは一線を画しており、その発言は市場のオピニオンリーダーとなることが多い。
ファンドが大きいため、ポートフォリオの大半はETFだ。18年9月末時点ではポートフォリオ全体の約31%が新興市場指数のETF、約26%が米S&P500連動のETFだ。個人投資家の分散投資の参考になるだろう。
日本株については13年時点でほとんど持っていなかったのだが、アベノミクスで強気に転じ、他の大手ファンドが追随したことは有名だ。トランプ大統領当選後、米国のアニマルスピリット復活として株に強気になった投資家の代表だ。そのダリオ氏も、トランプ大統領就任後の大統領令の連発には、マイナスの影響を懸念している。
ジョージ・ソロス氏は、草創期から運用しているヘッジファンドのレジェンドだ。世界有数のヘッジファンドであるクォンタム・ファンドを設立。1992年にイギリスポンド急落を演じて「イングランド銀行を破産させた男」などと言われ、97年にはアジア通貨危機を主導した。今は、ソロス・ファンド・マネジメントを運用している。
グルのポートフォリオの見方
2016年9月時点のバフェット氏のファンドでは、同月末にアメリカン航空など米航空大手4社を新たにポートフォリオに入れたことが話題になり、米国の航空会社だけでなく、日本の航空会社も買われた。同氏が大株主として10%程度保有するIBMの株を、ダリオ氏が小口だが購入したことなども話題となった。どうすれば彼らの保有銘柄が分かるのだろう?。
米国では、運用資産が1億ドル以上の機関投資家については、四半期毎に報告書の提出が義務づけられている。それが投信であろうと年金であろうとヘッジファンドであろうと、四半期終了後45日以内に証券取引委員会(SEC)に「フォーム13F」という報告書で保有明細を提出する必要があるのだ。
その報告書は、SECのEDGARサーチで簡単に見ることができる。日本証券取引所の開示システム「適時開示情報閲覧サービス」のTDnetに近いと考えればわかりやすいだろう。
まずはSECのホームページに行ってみよう。英語が得意でなくても簡単だ。
SECサイトの見方を詳しく解説
サイトの「U.S.SECURITIES and EXCHANGE COMMISION(証券取引委員会)」というヘッダーの下に青いバーがある。そこにある「FILING(ファイリング)」から「company filing search(企業検索)」へ行く。
バフェット氏のファンドなら「BERKSHIRE HATHAWAY INC」を検索し、リストアップされた中から「BERKSHIRE HATHAWAY INC」を選択すると、同社が提出した開示情報一覧が出てくる。その中から11月14日に提出した「13F-HR」の「document」を選択し、「form13fInfoTable.html」を選ぶと、同社のポートフォリオの銘柄、株数、所有金額などが出てくる。ABC順なので見にくいが、データを取り出して金額順などにすると分かりやすいだろう。
四半期末から45日が提出期限なので、だいたい2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬に更新されているはずだ。世界の投資家は毎回、これをチェックして前四半期末と比較しているのだ。
同様に、ダリオの「Bridgewater associates」、ソロス氏の「SOROS FUND MANAGEMENT」も検索可能だ。ダリオ氏のファンドはETFが多く分散投資の参考になる。同ファンドを見る上で注意していただきたいのは、残念ながらショートしている銘柄などは出てこないことだ。
時差、空売り未開示などがあるのであくまで参考程度に
大手ファンドのポートフォリオは大変参考にはなるが、45日の提出期限があるため、開示した時点ですでに保有していない可能性もある。あくまで期末時点のポートなので、期初に買い、期末時点ではすでに売り始めていた可能性もある。
ただ、大きなファンドを運用しているだけに、大胆にポートフォリオを変更することはあまりないので、相場の見方の参考や、個別銘柄購入時のアイデアの元になることは間違いない。将来のカリスマ投資家を夢見て、彼らのポートフォリオをフォローしてみてはいかがだろうか。
文・ZUU online 編集部
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