日本の飲み屋文化はバブル崩壊以降、ずっと変わり続けてきたのですが、私に言わせれば「客の価値観の変化に飲み屋がついていけなかった」のではないでしょうか?
事業継承に関して日本は良い技術を持っていると言われます。その通りだと思いますが、どの中小企業も全部が全部特徴ある技術を持っているわけではなく、ジャパンスタンダードを維持しているだけで本当に良いものを持っているところはごく一部だと思います。
ジャパンスタンダードとは顧客に対して納期と金額で満足させ、製品もしかるべきレベルにある、と個人的に定義しています。海外と比べればもちろん素晴らしいのですが、とてもドメスティックな会社ばかりで且つ、利益率が非常に低く、従業員にすずめの涙ほどのボーナスしか払えないのです。
理由は発注する側の値下げ要求が厳しく事業利益率が低い中、請ける側はその受注がなければ売り上げの大半が消滅することになり、どんな条件でも飲まざるを得ないというヒエラルキーと日本的上下関係の典型から抜け出せないためです。
こういう企業は徐々に無くなるでしょう。すると元請けには必ずそのしわ寄せがくることになり、コストの上昇を引き起こします。結果として値上げせざるを得ない、これは日本の長期ディスインフレの時代からの脱却となるストーリーの一つの例です。
私は今、失われた30数年からようやく日本が変わる時だと思っています。それは二世代に渡る変化への準備期間がようやく終わりに差し掛かり、昭和の経営者が前線から引くことで経営思想が刷新されることが大きく影響するから、とみています。それにはプラス面とマイナス面があります。プラスは過去を引きずらず、思い切った判断ができること、マイナス面は30数年間、沈滞した日本経済の空気しか知らずに育った若者が競争にどう勝ち抜くのか、その方程式を知っているのか、であります。
例えば金利は1%以下が当たり前だと思っている人が3-4%になった時どうするのか、です。(もちろん極論です。)値上げをしても顧客がついてくる特徴を出せるのか、はたまた経営者が従業員を引っ張るリーダーシップを持ち合わせているのか、などいろいろあるでしょう。IPOしたら一緒に苦労した仲間がさっさと退職したケースは良くある話です。なぜ、「おさらば!」されるのか、お友達感覚なのかな、と思ったりします。
日本からはいよいよ個店が減る傾向が強まり、儲からない地域には店やサービスがない時代が来るでしょう。必然的にコンパクトシティが形成されます。シュリンク経済の中で生き残りを図る、そんな世界を想像しています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月14日の記事より転載させていただきました。
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