「定年まで同じ会社に勤めたい」と考える新人が大幅に減っているというニュースが話題となりました。
「いい大学を出ていい会社に入れば年功序列で一生安泰」というのはいまやオッサン臭い発想ということです。
【参考リンク】「定年まで同じ会社」は大幅減、理想の上司は大谷選手 新入社員調査
そうなった理由はシンプルで「若い頃に安月給で辛抱しても、40代以降必ずしも年功序列で報われるわけではない」という現実に気づいたからですね。
筆者は15年以上前から指摘し続けてきたことですが、ようやく一般の学生にも浸透してきたということでしょう。
『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』
一方、年功序列で得た既得権にしがみつくイメージの強かった中高年層にも同種の動きはあらわれています。
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これだけ低成長だの斜陽国だの言われてる国で「いまさら年功序列型組織の下っぱなんてやりたくない」という若者は理解できるんですが、オッサンたちが重い腰を上げ始めた理由は何でしょうか。※ というわけで、今回はちょっと年齢層高目な「人生後半戦のキャリア」について掘り下げたいと思います。
※厳密には女性も含まれるんですが実際問題として日本企業はこの年代の総合職としては圧倒的に男性しか採用していなかったので以降“オッサン”と表記します。
メルマガでも何度か言及していますが、きっかけとなったのはやはり70歳雇用でしょう。
一昨年からスタートし、企業に従業員の70歳までの就業機会を確保するよう努力することを義務付ける法改正ですね。
特に大企業では事実上の70歳定年ととらえ、対策に大わらわとなっています。黒字リストラやジョブ化も広い意味では対策の一環でしょう。
下の世代の中には「これはあくまで経営側の課題であって自分には関係ない」と考えている人もいるかもしれません。
いやいや、これは働く側から見ても大問題なんです。
たとえば現在、男性の健康寿命(制限なく健康的な日常生活を送ることができる年齢)は72.68歳だとされています。70歳定年だとほとんど自由に動ける余生なんて残っちゃいないわけですよ。
さらに言えば独身男性の平均寿命は70歳未満なので、定年前に人生そのものからリタイヤしてしまうリスクがかなり高いということになります。
となると、オッサンにとっては仕事そのものの満足度が極めて重要なテーマとなってくるわけです。人生のほとんどすべてを捧げるものであり、職場は人生最長の時間を費やす我が家、上司や同僚は家族みたいなもんですから。
ところが、世界的に見ると日本人の仕事、会社組織、職場の人間関係などに対する満足度は異様に低いというのは割と有名な話だったりします。