これは今後、大学や大学院を卒業する若者がしっかりと専門知識を備えて社会活動する上での基礎を身に着け、その上で職業もプロとしての道を歩むという流れが強まるとみています。これは日本が「経営者と雇われの関係」と揶揄された時代から従業員の基礎能力が高く、マネージメントができる人を育てるという流れになる可能性を見ています。

但し、私は大学全入の意味はないと思っていますし、上述の大阪公立大学がどれだけ規模が大きいと言っても学部学生と大学院学生を併せて16000人です。私の母校の青山学院の19000人や明治の32000人とは比べ物になりません。つまり、依然マンモス大学は多くの大学入学希望者を吸収する大口受け入れ先ですが、徐々に大学は変質化するのだろうと期待しています。

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日経に国際バカロレアという世界共通の教育プログラムを採用する国内学校が増えてきたとあり、東京都立国際高校がその例として詳しい記事が掲載されています。なぜ、バカロレアかと言えば日本政府がグローバル人材を輩出させるという後押しをしているからです。近年新設ないし新設予定の大学でもグローバル化を目指した教育をモットーとしているところは非常に多くなりました。

ただ、正直、学生が「世界を股にかける」というイメージを持てないため、感覚的にはグローバル人材を輩出したい学校と学生にはギャップが生じているように見えます。学生はもっと現実的で自分が想像できる未来像、例えば看護師、IT技術者、あるいは各種研究者や専門家や芸術関係というように見えます。

グローバル化は日本はまだ相当遅れているし、実際、実務で輩出した国際人は他国に比べて極めて限られるのが現状です。その背景は企業が人材の国際化を養成しなかったこと、国内が居心地よく海外に出る必要性がないこと、まだ見ぬ世界への畏怖などがあると思います。しかし、ここはもう少し力強く押し出さないと日本は井の中の蛙になりかねないでしょう。また、国際ビジネスを学ぶ教育機関の拡充も欲しいところですね。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月12日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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