「働きたくない、だけどいやいや会社に行く」という方はかなりいらっしゃると思います。会社に行きたくない理由は様々ですが、我々は重篤な「9月病」にあるのかもしれません。「9月病」?一応、調べるとそのような言葉はあるようですが、私がイメージしたのは季節の変わり目という意味合いではありません。小学校の時、夏休みの終わり近くになると憂鬱になりました。あるいは日曜日の夕方にサザエさんの陽気な主題歌を聞くと「あぁ、明日は月曜日」と急に気が滅入る、そっちの病気です。休み明けはなかなか気持ちが盛り上がらないのです。

コロナの3年は長く、5月になって開放的気分になったという方もいらっしゃいますが、真逆の落ち込みを経験している人も相当いるはずです。「リアルで出社しなくてはいけない」と。

FIRE、つまり早期リタイヤしたいという人は今後、ますます増えてくる気がします。理由はストレスフルな会社勤めから「おさらば!」したいわけです。では、コロナの3年の間、人々は何を学んだかといえば自分の楽しみであり、自分の世界であり、最後は投資と投機であります。つまり、ひたすら自分の世界に閉じこもる快楽に目が覚め、夏休みが永遠に続くようなそんな選択肢をするのです。

「せっかく雇った従業員なのに…」と嘆く経営者は多いと思います。私の関係する業務のスタッフ採用状況を見る限り、1年残るのは1/4。常時採用、常時トレーニング、客から見れば常時新人、経営するほうも顧客もたまったものではありません。私の事務所があるシェアオフィスの受付嬢は長く持って半年です。どう見ても「やりがいゼロ」の受付業務にYouは何故、応募したの、とこちらが聞きたくなるその理由は「いつでも辞められるから」。今や完全死語のOL(=オフィスレディですよ!)はかつて、結婚相談所ならぬ「伴侶を見つける場」としての活用方法もありました。仕事への割り切り感があれば責任ある業務もなかなか与えられません。

昔、某運輸会社の〇〇急便はきついけれど短期で100万円貯められるとされ、半年、1年の男性向け腰掛業務の代名詞でありました。(今はヤマト運輸を上回る利益率でイメチェンしたと信じています。)終身雇用万歳の日本でしたが、今は働く側が「結構です」と断ってくる時代です。理由は「自分の一生を一つの会社にコミットなんてできるわけない」です。結婚だってしたくない現代っ子になぜ、30年も同じ会社に在籍しなくてはいけないのかさっぱり理由がわからないということです。

アメリカ、カナダそして日本でも積極採用をするために提示給与がどんどん上がってきています。これは悪くはないのですが、失業率が地を這うような状況下に於いて労働意欲があまり高くない求職者にとって職種なんて何でもいい、良い給与をもらって半年か1年仕事をしてまたゆっくりするというスタンスが増えてきているように感じられます。

これらの現象はコロナ明けということもありますが、個人主義がより強まり、マネーゲームで生活費捻出どころか財を成す強者が続々と現れたことは大きいと思います。日経などでその成功者を記事として紹介していることは一般大衆に刺激を与えたことでしょう。「〇歳で〇億円の資産を運用」と記事のサブタイトルに書かれてしまうと「俺も」「私も」になるのは当然です。