しかし、秘密特許として扱ったとしても、その発明が行われた組織から人を介して技術情報が洩れているのでは意味がない。公開しても構わない技術情報以外に対しては、安全管理措置が必要になる。

多摩大学のルール形成戦略研究所・技術安全保障研究会は2018年に「諸外国並みの技術安全保障体制の構築を~技術保護とサイバーセキュリティが急務~」と題する提言を発表し、経済安全保障推進法制定への機運盛り上げに貢献した。

提言は「セキュリティ・クリアランス制度の導入」を求めた。「米国に倣った個人レベルのクリアランス制度を導入し、安全保障上機微に触れる技術の製品の開発にあたっては政府として技術者の適格性保証を行う。」というものだ。産業技術総合研究所の事件はクリアランス制度があれば防止できた可能性がある。同研究所も再発防止策として「適格性審査の更なる強化」を行うとしている。

他の研究開発機関も、クリアランス制度によって技術情報に接触できる人を制限する、サイバー攻撃への耐性を高める等の、安全管理措置を強化するのがよい。それが、第二、第三の流出を防ぐ方策である。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、7月25日に、技術安全保障研究会で座長を務められた玉井克哉東京大学教授に「秘密特許制度と技術安全保障」と題して講演いただくことにした。ぜひ、ご参加ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?