司法試験の論文解答が、手書きからパソコン入力に切り替わる。

司法試験パソコン実施に 令和8年から、論文負担軽減

予兆は10年以上前からあった。平成22年の採点実感(※)から、受験者の書いた「字」に、採点者が苦慮している様子がうかがえる。

「美しい文字である必要はないが、少なくとも普通に判読できる文字で記述するよう心掛けるべきである」(平成22年 採点実感)

翌年は要望が記載される。

「書く練習をしてほしい」(平成23年)

その翌年はマナーとして言及。

「丁寧な字で正しい文字を書くことは基本的なマナーである」(平成24年)

やがて説教まじりに。

「判読できない記載には意味がないことを肝に銘ずべきである」(平成27年)

そして令和。

「毎年指摘されていることではあるが、書き殴ったような読みづらい字の答案が散見された。文脈を理解していなければ到底判読不能と思われるものもあり、文字の巧拙というよりも、そもそも他人が読むことを意識していないのではないかと思われる」(令和元年)

以降、現在まで強い口調が続く。どんな字がいけないのか。具体的な指摘も増えてきた。小さい字。乱雑な字。殴り書き。「日本語で書かれていることを疑わざるを得ないほどの『個性的』な字」、とまで。

いや、耳が痛いです。異なる資格ではあるけれど、自分でも読めないほど雑な字で解答論文を書いた身としては。

今月(2023年7月12日)実施される司法試験の受験予定者数は4,165人。9月実施の予備試験受験予定者数は16,704人にのぼる。採点の負担は相当なものだろう。

採点者だけではない。受験者も辛いのである。