人事異動の季節が始まった
6月末に中央省庁の幹部人事が一斉に報道されました。霞が関では年功序列が通常で、後輩が先輩を差し置いて出世することはあまりないのですが、今回は経産省の事務次官(役所におけるトップ。社長みたいなものです)と序列2位の経済産業審議官の年次が逆転したことも日経などで報道され、大きな話題となりました。
また、2001年に行われた中央省庁再編では、複数の省庁が一つの省庁に合併しました。この影響で複数の省庁が合併した省庁では、合併前の省庁の出身者を交代で次官につける慣例を踏襲している省庁もあります。例えば国交省は旧運輸、旧建設、旧建設省の技官が順番に事務次官に就任するのが通例です。
毎年6月末~7月にかけては官僚の幹部人事異動のシーズンとして知られています。
通常国会は、毎年1月中旬から6月中旬頃まで150日間開かれることになっており、この会期中は、政府が提出している法案の国会での審議が続いています。また、法案審議に加えて、6月までは骨太の方針や新しい資本主義実行計画の作成に向けた作業など、政府内も大きな方針を決定する時期で大忙しです。
したがって、1月~6月までの国会会期中に、人事異動をしてしまうと、特定の分野に詳しい官僚を担当から外してしまうことになり、政策を効率的に実現することができなくなってしまいます。
だから、国会が閉会し、大きな仕事がひと段落した6月末から7月が異動に最適な時期として選ばれているのです。人事は幹部から決まり、そして6月末から9月までに年次が若い職員も含めて、それ以降の人事が確定します。もちろん、通常国会は延長することもあります。その場合は官僚の異動の時期も遅れることになります。

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