三木谷氏は再三、携帯事業は改善してくる、と述べています。また繋がりにくさを解消するためのプラチナバンドの割り当ては秋にも決定すると思われます。現時点で割当先は決まっていないことになっていますが、そもそもの発想が楽天救済ですので楽天に割り当てられるのでしょう。それでも工事をしなくてはいけないので即座に効力を発揮するわけではありません。

一経営者の目線で見ると楽天は今が一番苦しいところに見えます。三木谷氏がギブアップをせず、この難局を乗り越え、誰が何と言おうとも資金を供給し続け、三木谷夫妻がすっからかんになるリスクを背負ってでも携帯事業を形にするつもりなら3年ぐらいすれば改善するかもしれません。

株価も500円を割り込んだあたりが当面の下値でここから先はやや戻し気味になるだろうとみています。楽天経済圏の規模と収益を考えれば株価は安すぎるように見えます。実は私は長年に渡る日産自動車の不振ぶりを株価で見ながら、ルノーとの一件を片付けたことで株価の回復基調をある程度予想していました。事実、今年の値動きだけ見るならトヨタの30%上昇に対し、日産は50%上昇なのです。つまりあるきっかけで視界が開けるのです。とすればまずは秋のプラチナバンドの割り当て、そして楽天証券HDの上場あたりからようやく薄日が差すのだろうとみています。「夜明け前が一番暗い」という格言もあります。

三木谷氏にとって血尿が出るほどの苦しみだと思います。携帯事業に参入を決めた時、私は絶対に間違いと再三指摘しました。多くの専門家も同様の指摘をしたはずですが、絶好調だった三木谷氏は誰の声も聞かず、携帯事業が楽天グループのひな壇に鎮座する不動のビジネスになると思ったのでしょう。

しかし、ひな壇に据えるにしても三木谷氏は携帯事業でガンガン儲かることは期待していないとされます。ならば携帯事業から楽天商圏にどれだけ顧客誘導できるか、その明白な道を描かない限り、帝国の基盤はぐらつきます。折しもヤフーとLINEのZホールディングスも苦しんでいます。楽天的なビジネスは無いということなのでしょう。

とはいえ、三木谷さんは優れた事業家です。何らかの形で携帯事業を安定化させて乗り越える期待をしています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月7日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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