「飲酒は体に悪い」と思い込んでいませんか? とくに飲酒は肝臓を壊すというのが世間の一般的なイメージです。しかし調べてみたら、そうでもなかったというのが今回の話題です。

 平均年齢55歳の男女400万人ほどを対象に、飲酒習慣と認知症との関係を調べる、という大規模な研究が韓国で行われました【注1】。認知症は、昔から不適切な生活習慣によって発症しやすいことが知られていましたので、的を射たテーマだったといえます。

 お酒にもいろいろな種類がありますから、学術調査では、通常、アルコール量に換算して比べるという方法がとられます。たとえばビールなら375mL(レギュラー缶約1本分)、ワインで156mL(ワイングラスで1.3杯分)、清酒は約0.7合が、アルコール量に換算すると約15グラムです。

 この調査でも、アンケートで1週間あたりの飲酒量をまず調べ、1日当たりの平均アルコール摂取量に換算し、対象者を次の4つのカテゴリーに分けました。

(1)飲酒はしない
(2)15グラム以下
(3)15~30グラム未満
(4)30グラム以上

 その2年後、再びアンケート調査を実施し、飲酒習慣がどのように変わったかを調べ、その結果から対象者を5つのグループに分けました。

 ・グループ1:ずっと飲酒をしていない
 ・グループ2:以前は飲んでいたが、その後、やめた
 ・グループ3:アルコール量を減らしたが、いまも飲んでいる
 ・グループ4:飲酒量は変わっていない
 ・グループ5:飲酒量が増えた

 この5つのグループの間で、2年間に新たに認知症と診断された人の割合がどうなっていたかを統計分析したのです。分析には最新の方法を用い、年齢、性別はもちろん、病歴や喫煙の有無、運動習慣、居住地域、収入などさまざまな背景因子を調べ、それらの影響を取り除くという処理が行われました。