Q. マイナカードをつくらないとどうなるんですか?
来年の秋には紙の保険証は廃止される予定なので、マイナカードがないと医療が10割負担になります。一時的に「資格確認書」が保険証の代わりに発行されますが、この有効期限は1年です。マイナ保険証に切り替えれば無期限に使えるので、返納するメリットはありません。
Q. なぜ健康保険証をマイナンバーカードに切り替えるんですか?マイナンバーはもともと社会保障番号としてつくられたものですが、カードは野党やマスコミの反対が強いので義務化できず、「マイナポイント」などでインセンティブをつけてきました。それでも普及しないので、紙の保険証を廃止することにしたのです。
保険証には顔写真がなく、通称が記載できるので、なりすましや偽造が多く、他人に保険証を貸して使い回す人がいて、もっと信頼できる証明書にすべきだという意見が強かったのです。
Q. なんでこんなに反対する人が多いんでしょうか?返納した人は全国で300人ぐらいで、大したことはありません。毎日新聞の世論調査では64%が「不安を感じる」と回答していますが、具体的に何が問題なのかという指摘はありません。「トラブルが多い」という話ぐらいです。
いま起こっているトラブルの大部分は、マイナンバーと保険証や銀行口座をひもづける手続きの単純ミスですが、すでに8400万枚も発行されているので、0.1%のミスがあっても8.4万件になります。これまで紙の保険証で起こった事故よりずっとましです。
ただマイ-ナンバーの内部はいろいろなシステムをつなぎ合わせて複雑なので、役所の人にも全体がわかりません。おまけに今までの反対運動にこりて過剰セキュリティになっているので、手続きが面倒で、役所に出向かないと解決できません。
Q. 今後もマイナカードの用途は広がるんですか?マイナカードの用途は、法律で社会保障と税務と災害対策と決められていますが、運転免許証は今後、マイナカードに切り替えることが決まりました。パスポート(旅券番号)は変わりませんが、申請はマイナカードでできます。
民間でも、たとえばサラ金の借金は保険証でできますが、これは偽造やなりすましが容易で危険です。これをマイナカードに変えれば、事故は減るでしょう。本人認証はネット時代には大事な公共サービスなので、マイナンバーに統一するのが合理的です。
Q. 野党は「紙の保険証を残せ」と言っています。そんなことをしたら、マイナ保険証と紙の保険証がずっと残り、システムが二重になります。これから社会保障の負担が重くなる時期に、事務負担を2倍にするのは愚かなことです。
確かに今のマイナカードの設計はまずいのですが、今さらゼロから番号を付け直すわけにもいかないので、マイナンバーはそのままにしてカードをやめ、スマホで顔認証するなど、もっと便利で安全なしくみに変えていく必要があります。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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