辞め時を決めておくと変化に強くなる

ビジネスや投資の世界では、変化に強くなることで生き残ることができる。だがビジネスなら顧客を多く抱えたり、投資なら運用額が増えると段々変化に弱くなっていく。たとえば芸人やYouTuberについていえば、見てくれる人が増えて尖ったことをいうとそれを叩く人も増えてくる。結果、全方向に忖度をしはじめて丸く、そして旧来のファンからみてつまらなくなるという事が起きる。

有名な話で言えば、深夜番組でハチャメチャにやって人気が出た番組を色んな人が見るようになったら、苦情が増えてしまいもはや昔のようにハチャメチャができなくなってしまうというものである。

だが最初に辞め時を決めておくと、変化に強くなれると思っている。自分自身の場合でいえば、顧客からの支持を取れなくなったタイミングでスパッとその仕事をやめてしまう方がいいと思っている。いきなり既存顧客を切り捨てることはできないわけだが、まずは新規受付を終了するなどして責任をきっちり全うしつつでも段階的に終了させるのが良いだろう。オワコンになった仕事の後は、まったく新しいことを始めればいい。

栄枯盛衰、今はイケイケで勢いのあるビジネスもいつかは必ず終わる。終わったものを無理に復活させてゾンビのように生き長らえさせるより、まったくゼロからスタートさせる方が仕掛ける側も楽しいものだし、応援してくれる人の気持ちにも応えることができるだろう。

幸い、今の時点で手掛けているビジネスに終わりの兆候はまったくないが「精一杯やってダメなら、その時はやめればいい」と最初に決めてスタートすれば、最悪を覚悟している分、果敢に挑戦して色々と試行錯誤ができる。結果、変化に強くなれるというわけだ。これが極端に守りに入って保守的な姿勢になれば、ある日いきなり終わることはなくてもゆっくりと真綿で首を締められるような終わり方を迎えるのは必然である。

「無難に過去の繰り返しで」という前例踏襲思考はビジネスでは一番の命取りである。

何事も最初に「これができなくなったらその時点でスパッと撤退しよう」と出口戦略を決めて始めればいい。件の行事の手伝いも慣習的、儀式的に思考停止で続けるより、「こうなったら終わりにしましょう」とコンセンサスを得ておくと合理性を維持できるのではないだろうか。

 

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