その最大のハードルは消費者が堅調な消費を維持できるか、であります。北米の例で見ると各種支援金もあり、概ね1-2年の消費効果は維持しましたが、日本は個人向けばらまき具合が北米程ではなかったのでコロナ終了後1年程度の持続力と仮定すれば来年春ぐらいまでが好調を維持できる目途ではないかと想定しています。
その間、サービス価格の上昇は継続し、安いはずの日本の物価は海外とさしてそん色がない水準になっていくとみています。
一方の為替ですが、想定外に円安に進んでいますが、これはアメリカの金融政策がいまだ利上げを見込んでいることと日銀が利上げの姿勢を見せないことによるギャップが全てだと思います。高橋洋一氏は6月末のアメリカ最高裁の学生ローンの免除は違法と判断したことで国内経済には相当の打撃、よって利上げどころではないとコメントしています。確かにそれはあるでしょう。
そして植田日銀総裁もいつまでも何もしない訳には行かないように思えます。そもそも日銀は黒田氏の時代から23年-24年には物価は2%台に落ちると言い続け、植田氏もそれに同調する姿勢でした。しかし、世界物価の上昇基調は止まらず、円安で輸入物価が上がり、人件費は人材不足で上昇、外国人労働者は労賃の低さで雇い負けになり、日本に十分に労働者が入ってこないとなれば欧米型の物価上昇がないとは言い切れない訳でここは注意深く見たいと思います。
多くの専門家は下期は円高を見込んでいます。仮にそれでも円安が続くとなればそれは日本経済の構造的弱体化を意味することになり、別の意味で深刻な事態に陥ることになります。
私は地政学的にプラス効果とマイナス効果がある日本に於いて現時点ではまだプラスの方が強いとみています。台湾問題は来年早々の総統選の結果を見るまで水面下の動きだけで何も起きないと予想しています。
総括すれば日本経済は悪くはないけれど体質の変化を伴ってくるとみています。失われた30年を経て新たなステージに入るとすればそれがポジティブなものであってもらいたいと思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月3日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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