暦で見るか、会計年度で見るかはありますが、23年6月を終えた一つの区切りなので今年の日本経済を振り返ってみたいと思います。
12月30日の日経平均が26094円に対して6月30日は33189円と率にして27%の上昇は出来すぎとも言える状況です。何がそこまで変えたのでしょうか?私の1月5日のブログに「…東京市場は欧米に比べて経済が安定し、政治的安定感もあることから年の前半は外国人投資家のマネーが流入しやすく、後半は流出する予想」と述べています。

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この流れは旺盛な海外投資家のマネーによって支えられているわけですが、それでも日経平均が本格的に上昇したのは4月に入ってからです。事実3月30日の日経平均は27782円で年初からの上昇率は6%に留まっています。4月の年度替わりは通常、買いが入りやすい環境ですが、その頃からコロナ5類への移行を見定めた国内経済の正常化、及び春闘での賃上げが近年にみられないほど積極的であったことはプラス材料でしょう。
バフェット効果も大きな原動力ではありますが、北米ではバフェット銘柄も一時のような囃し立て方はしません。銘柄によっては打ち上げ花火で終わるケースもあります。その中で商社株が異様に上昇していますが、個人的にはかなり疑念を持っています。例えば三菱商事の24年3月連結利益見込みは23年比で2割以上のマイナスを見込んでいます。トヨタも成長率では数パーセント、おまけにウーブンシティ開発ではかなり苦戦しています。個人的には稼ぎ方も成長力も不十分に見えます。
訪日外国人の回復は支援材料でした。ただ、コロナ前の2019年比では未だ3割以上低い水準です。また個人的な見方としては滞留していた訪日外国人が一気に日本に流入した後、現在は落ち着きモードに入っているように見えます。一方、日本人の海外旅行は19年度比半分以下の状況が続いており、内外物価差もあり、日本人の海外旅行ブームは鎮静化していると言ってもよいでしょう。
物価ですが5月の消費者物価指数は総合が3.2%、生鮮品を除くコアが3.2%、エネルギーも除くコアコアが4.3%でした。国内ニュースではこの物価上昇のニュースがあまり話題にならないのですが、5月のコアコアが4.3%上昇したのは41年11カ月ぶりなのです。これが意味するのは値上げがサービス品目にも広がっているという意味で本格的物価上昇、いや、眠れる獅子がようやく目を覚ました感が強いと思います。既に宿泊や飲食業、アミューズメント施設の人材不足から価格上昇していますが、今後、更に上昇するのは確実だとみています。
とすれば年後半を占うにはいくつかのハードルを考慮する必要がありそうです。