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  1. 輸出相手国の変化

    前回までは、日本や主要先進国の金融資産・負債、金融勘定を見てきました。

    バブルやリーマンショックなどで、どの主体がどのように挙動してきたのか色々とわかって興味深いですね。

    今回からまた、様々な経済統計データをご紹介していきます。今回と次回は貿易についてです。

    以前、貿易については各国の輸出や輸入を相対化してご紹介しました。(参考記事: 貿易でも存在感が薄れる日本、参考記事: 貿易の少ない日本)

    日本は貿易大国という印象を持つ人も多いと思いますし、実際に輸出も輸入も増加傾向ではあります。

    しかし、他の先進国は更に貿易を活発化していて、相対的に見ると日本は貿易が少ない国という特徴があるようです。

    今回は、そんな日本の貿易のうち、輸出や輸入の相手国がどのように変化してきたかを可視化してみましょう。

    図1 輸出額 相手国別 日本財務省 貿易統計より

    図1が相手国別の日本の輸出額の推移です。

    近年では約100兆円の輸出規模となりますが、とても特徴的な変化ですね。

    まず、1980年代からアメリカ(赤)が圧倒的な輸出相手国だったことがわかります。12~17兆円ほどでアップダウンしながら推移していますが、大きく増えているわけではありません。

    ドイツや、イギリスなども、数兆円程度のボリュームとなりますが、1990年代から横ばい傾向です。

    一方、中国(橙)と韓国(茶)が大きく増大している事が確認できます。韓国は2007年あたりをピークにして5~6兆円程度で横ばい傾向ですが、中国は増加傾向が続いています。

    近年ではアメリカを超え、20兆円近くに迫り、最大の輸出相手国という事になりますね。

    図2 輸出額 相手国別 日本 2021年財務省 貿易統計より

    図2が2021年の日本からの輸出額が多い国順に並べたグラフです。

    中国、アメリカが突出していて、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールとアジア圏が続きます。

    ドイツが2.6兆円で比較的大きな存在感ですが、基本的に上位はアジア地域ですね。

    これらの国々には、海外生産拠点への部品や工作機械の輸出なども多く含まれるかもしれません。

    いずれにしろ、日本の輸出は欧米からアジアへとシフトしている事が良くわかりますね。