〇貯蓄率 ・4.6%と、2022年1月以来の高水準。ただし、2019年平均の8.8%以下が続くが、1959年のデータ取得以降で3番目の低い伸びとなった2022年6月につけた2.7%から改善基調を継続、過去最低は2005年7月の2.1%。
チャート:個人消費の伸びが鈍化し、貯蓄率を小幅押し上げ
(作成:My Big Apple NY)
〇個人消費支出(PCE)価格指数
Fedの積極的な利上げを経て、コアPCEの前年同月比は市場予想を下回った。
・PCE価格指数は前月比0.1%上昇、市場予想の0.2%を下回る、前月は0.4% ・前年比は3.8%上昇と市場予想の3.9%を下回り2021年4月以来の低い伸び、前月は4.2% ・コアPCEデフレーターは前月比0.3%上昇、市場予想と一致、前月は0.4% ・コアPCEの前年比は4.6%上昇と市場予想の4.7%を下回り2021年10月以来の低い伸び、前月は4.7%
チャート:5月はゆるやかなインフレ鈍化を確認
(作成:My Big Apple NY)
――5月は個人消費支出に加え、PCEの前年比は2021年4月以来、コアPCEは2021年10月以来の低い伸びとゆるやかながら鈍化を確認しました。ただ、コアは未だインフレ目標値の2倍以上で、高止まりしたままと言えます。
個人消費を占う上で注目された米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は64.4と、速報値の63.9から上方修正されました。現況指数も64.4(速報値は63.9.)、期待指数も61.5(速報値は61.3)と、そろって前月以下ながら速報値から上方修正に。とはいえ、ヘッドラインと現況指数は年初来で最低、期待指数は2022年7月以来の低水準でした。やはり、米利上げの影響と長引く高インフレで、個人消費のセンチメントは下向きつつあります。
センチメントの改善は、インフレ鈍化が一因です。1年先インフレ期待は3.3%と速報値通りながら、前月の4.2%を下回り2021年3月以来の低水準となりました。5年先インフレ期待も速報値通り3.0%と前月の3.1%以下でした。
チャート:米ミシガン大消費者信頼感、短期のインフレ期待が著しく改善しセンチメントを押し上げ
(作成:My Big Apple NY)
ミシガン大学の消費者調査担当ディレクターのジョアン・シュー氏は結果を受け「全ての層でセンチメントが改善したが、この背景は米債務上限問題の妥結に加え、インフレ鈍化を反映している」と説明しています。しかしながら「高止まりする物価が引き続き消費者の重石となっているため、経済状況に対する見方は横ばいだった」と慎重な見方も寄せました。
米住宅指標に加え、コアインフレの高止まりや消費者信頼感指数は追加利上げの蓋然性を高めますが、少なくともFF先物市場はそうしたFedの予想をまだ信じていないようです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年6月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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