1〜1.2L級のクルマといえば、1960年代ならマイカー元年世代の立派な大衆車、1970年代なら安価なエントリーモデルでしたが、1980年代にはターボエンジンを搭載するホットモデルも出てきます。
一気に花開くのは1980年代半ばで、DOHCやSOHC4バルブ自然吸気の高回転型エンジン、DOHC4バルブターボエンジンの登場で、リッターカー級でもスポーツ走行で大排気量車に負けないような、高性能車が現れました。
各種安全装備の義務化による重量増加まで反映した「小さな巨人たち」のうち、日産 マーチR/スーパーターボ以前に登場した、ごく初期の3台を紹介しましょう。
目次
スズキ カルタスGT-i(初代AA33S/AB33S・1986年)
ダイハツ シャレードGT-ti(3代目G100S・1987年)
スズキ カルタスGT-i(初代AA33S/AB33S・1986年)
GMグループの安価な世界戦略車へDOHC4バルブエンジンを搭載
軽自動車同様、まずはベーシックなSOHCエンジンへターボチャージャーを組み合わせたホットモデルから始まる高性能コンパクトカーですが、スズキもGMグループの低価格世界戦略車、初代カルタスに最初は1Lターボを積みました(カルタスターボ・1984年)。
続いて、アルトツインカム12RSで小排気量エンジンのDOHC化に慣れていた事もあり、、1.3リッターDOHC16バルブエンジンを搭載したカルタスGT-iを1986年に発売、当初97馬力、翌年には110馬力へパワーアップし、このクラスで初の高性能自然吸気DOHCエンジン搭載車として、ストリートからモータースポーツまで活躍。
1988年にモデルチェンジした2代目にもGT-iは受け継がれ、後述する2代目シティ登場までクラス最強マシンとして君臨、「軽より安いリッターカー」が売りだったカルタスに別な一面を持たせ、後のスイフトスポーツへつなげました。
ダイハツ シャレードGT-ti(3代目G100S・1987年)
サファリラリーで大排気量4WDターボを相手に大活躍!
2代目(1983年)からSOHCターボ車やデ・トマソ・ターボ、グループBラリーマシン926ターボを設定したシャレードですが、3代目まではリッターカーらしくホットモデルでも1L3気筒へこだわり、GT-ti(後にGT-XX)へ1L DOHCインタークーラーターボを搭載します。
リッター100馬力を超える105馬力の小排気量ターボは、当時としては高回転型でピーキーと言われていたものの、ターボエンジンを好むユーザーからは好評。
以前から参戦していたサファリラリーへの挑戦も継続、何度もクラス優勝を飾っただけでなく、1993年には5~7位独占フィニッシュ(もちろんクラス優勝)、1~4位を飾ったトヨタのセリカGT-FOURを除く大排気量4WDのライバルを蹴散らす活躍を魅せます。
3代目を最後にリッターカーから車格アップしてしまいますが、そのコンセプトは後のストーリアX4やブーンX4にも受け継がれました。