Eセグメントのミニバン

新型アルファード、ヴェルファイアのボディサイズは、全長4995mm、全幅1850mm、全高1935mm(19インチタイヤは1945mm)、ホイールベースは3000mmだ。

今回の新型モデルは海外輸出だけでなく海外生産も計画されているが、全幅に関しては日本での立体駐車場での制限を考慮し、Eセグメントとしてはやや狭めとなっている。

プラットフォームは大型横置きエンジン用のTNGA-Kをベースにしてミニバン用に改良。サイドシル部はストレート構造とし、リヤのフロア部にはV字補強材を追加。さらにボディの構造用接着材を大幅に採用するなどにより、従来モデルよりボディ剛性を大幅に向上させている。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=リヤ床下のV字形補強材、『AUTO PROVE』より引用)

またヴェルファイアには、ラジエーター・サポートとサイドメンバーを結合する補強材を追加している。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=ヴェルファイア専用のラジエーターフレーム-サイドフレーム補強材、『AUTO PROVE』より引用)

デザイン的には、ミニバンでは平板になりがちなボディサイドに抑揚を強め、全体的なカタマリ感を演出。闘牛が躍動しているかのようなモチーフのデザインにしている。

フロント部には闘牛が突進するような力強さを表し、エンブレム部分が最先端になる逆スラント形状とし、ボディサイド部分のフロントからリヤにかけては、地面を蹴り出すような力強さ表現している。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

インテリアのパッケージングでは、運転席のドライビングポジションや2列目シートの構造を工夫し、3列目シートもシート脇のクォータートリムやバックドアトリムの薄型化など、0.1mm単位で検討して居住スペースを確保。運転席と2列目シートおよび3列目シートとの距離は従来型比でそれぞれ5mm/10mm広い前後席間距離を生み出している。なお、乗員数はすべて2/2/3席の7人乗りとしている。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=スーパーロングオーバーヘッドコンソール、『AUTO PROVE』より引用)

天井のデザインも一新され、従来は天井左右各所に点在していた照明や各種スイッチ類、エアコン吹き出し口などの機能を、天井中央に集約させたスーパーロングオーバーヘッドコンソールを採用。反対側の窓を開閉したり照明を調節できるなど、後席のどこにいても使いやすい操作性にしている。

インフォテイメントでは、メーターパネルは12.3インチのディスプレイに、センターディスプレイは大型の14インチ・サイズを装備。またヘッドアップディスプレイも装備している。

そして子供や高齢者でも乗り降りしやすいように、スライドドア部のユニバーサルステップを初めて右側にも採用。ドアの開閉に連動して地上から約220mmの位置にステップがせり出すようになっている。また乗り降りで掴まりやすいよう、センターピラーと左右の天井にロングアシストグリップを設置している。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=リヤ右ドア側にせり出し式ステップ、『AUTO PROVE』より引用)
トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=高齢者、子供の乗り降りをサポートするロングアシストグリップ、『AUTO PROVE』より引用)

その歴史

アルファード、ヴェルファイアは、ミニバンブームの2002年に、トヨタの高級ミニバンとして誕生し、2008年にアルファードが2代目にモデルチェンジ。同時により強い個性を求めるユーザー向けのヴェルファイアが追加されて双子シリーズとなった。

2015年の3代目ではリヤにダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用し、高価格の最上位グレード「Executive Lounge」を新設するなど、一般的なミニバンから大空間高級サルーンへと変貌した経緯がある。

ボディサイズはEセグメントに相当する全長5mクラスであり、デザインではマイルド・ヤンキーをターゲットにしており、高価格モデルにもかかわらず30歳代の若いユーザー層からも支持された。

その一方で大企業の重役や官庁・自治体の公用車、さらに芸能人なども専属運転手付きのショーファーカー、VIPカーとして認知され普及が進んでいる。

トヨタ 世界で通用するミニバンに変貌したアルファード ヴェルファイアの詳細
(画像=アルファード Executive Lounge ハイブリッド、『AUTO PROVE』より引用)

その結果、トヨタにとっては多くの車種ラインアップの中で、競合モデル不在で販売台数が多く、従来モデルでも400万円〜700万円台と有数の高価格帯の高収益モデルとなっている。

そのためもあり、現在のトヨタ販売チャネルでの専売モデルは廃止され、全チャネルで共通車種の取り扱いとなっている。中でもヴェルファイアは、強烈でアグレッシブな個性をアピールするモデルに位置付けられている。