喫煙者にも非喫煙者にも不公平感のない制度は?

タバコ休憩について、不公平感のない制度を整えるには会社としてどのような対策を検討すべきなのでしょうか? タバコ休憩以外でも離席を認めても良いのですが、タバコ休憩への根本的な不満は「タバコを吸うこと」ではなく「社員間の労働時間に関する不公平」にありますので、以下のように明確かつ平等なルールを作る方法もあります。

(1)通常の休憩時間とは別に非喫煙者にも「リフレッシュ休憩」を認める

非喫煙者にも喫煙者と同様の休憩を与えるという方法です。

諸説ありますが人間の集中力は約90分が限界だといわれています。長時間作業をしていると次第に効率が落ちてしまいます。業務時間中に適度な休憩時間があった方が、仕事がはかどり業務効率が上がることも期待できます。

社員の集中力を保ち効率を維持する目的で、例えば、午前と午後に15分ずつ「リフレッシュ休憩」を設けます。喫煙者も喫煙は「リフレッシュ休憩」中にしてもらい、それ以外の時間の喫煙は禁止してしまう、といった方法です。

(2)喫煙者には休憩を分割して取得してもらう

1時間以上の休憩を与えることは難しいという場合は、休憩を分割して取得してもらう方法があります。

1時間のお昼休憩を午前中に10分、お昼時間に40分、午後に10分と分割取得してもらいます。タバコ休憩は分割した休憩時間にしてもらいます。

ただし、これは人により異なる対応で管理する側の手間も発生します。あまりに細かく休憩をとると仕事の効率を落としてしまったり、十分な休息が取れなくなってしまいますので、最低限の配慮を行うようにしましょう。

本来仕事の成果は、喫煙の有無やデスクにいる時間だけで決まるものではありません。 喫煙者に喫煙を禁止することや喫煙に対して罰則を設けるという考え方より、両者が共存できる仕組みを考えるのがポイントです。

まとめ

喫煙者と非喫煙者の間でたびたび論争となる、職場での「タバコ」に関する問題は、放置しておくと不平不満が大きくなり従業員のモチベーションにも影響します。

一方で、喫煙スペースが社員のコミュニケーションの場として機能し、社員同士のコミュニケーション円滑化に役⽴っている場合もあります。普段話すことがない他部門の社員と気楽に情報交換できたり、デスクでは出来ない会話をすることで人間関係が円滑になる場合もあるでしょう。

喫煙者にとっての大切な時間を守りつつ非喫煙者にも配慮する、双方にとって働きやすく公平な職場環境を構築すべきです。

桐生 由紀 社会保険労務士 大学卒業後、大手財閥系企業の管理部門業務に従事。第1子出産を機に専業主婦になるが、配偶者の急死により二人の子供を抱えてシングルマザーになる。Authense法律事務所に再就職し、法律事務所と弁護士ドットコムの管理部門の構築を牽引する。その後、Authense社会保険労務士法人を設立し代表に就任。現在は、弁護士法人でHR部門を統括しつつ、社会保険労務士法人の代表として複数のクライアントを支援している。プライベートでは男子3人の母。 。

外注なのに従業員? 社員とフリーランスのグレーな境目について(桐生 由紀 社会保険労務士) 花見で怪我をしたら労災になるのか?社労士が教える、知っておきたい労災の話(桐生 由紀 社会保険労務士) ママ社労士が教える、育休明けからスムーズに職場復帰する方法。(桐生 由紀 社会保険労務士) ChatGPT(GPT-4)は、弁護士や税理士など士業・専門家の相談業務を奪うのか?(横須賀 輝尚 経営者) コロナ禍で露呈した「使える士業」と「使えない士業」の決定的な違い(横須賀 輝尚 経営者)

編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年6月27日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。