投資運用業における利益相反のおそれを一掃することは、運用能力による競争環境を整備することであり、競争環境の整備は運用能力向上の前提になる。利益相反のおそれを一掃するための最も有効な方法は、利益相反の事実の証明責任の転換である。

123RF

企業年金において、母体企業の親密先金融グループに属する投資運用業者が選定されている事態において、その事態により直ちに利益相反の存在が推定され、その推定を覆す証明責任は関係当事者たる企業年金、母体企業、投資運用業者に課せられる、そのような法律上の手当てを行えば、利益相反の不存在証明は極めて困難だから、誰も利益相反を推定される事態に身を置こうとはしなくなる。

投資信託においても、販売会社と投資運用業者が同一金融グループに属する事態において、そのことから直ちに利益相反の存在が推定され、その不存在証明が関係当事者たる販売会社と投資運用業者に課されるように法律上の手当てをすれば、販売会社の商品選択の方法は劇的に変貌せざるを得ない。