ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)は、建築価格や購入価格がやや高くなるが、その分、さまざまな面でメリットがある。建築時、購入時に補助金が利用でき、取得後の光熱費を大幅に削減でき、さらに住む人の健康を促進してくれる。これから一戸建てを建てる、買うならZEHを選択肢に入れない手はない。
2030年までにCO2排出量26%削減が目標に
ZEHは、住宅内で使用する一次エネルギーと同等、またはそれ以上を太陽光発電などの創エネルギーによって生み出し、実質的に一次エネルギー消費量がプラスマイナスゼロかそれ以上になることを目指した住宅のことだ。
CO2排出量削減が世界的な課題となっており、パリ協定にともなって、わが国も2030年までに2013年比でCO2排出量を26.0%削減することを国際公約としている。それに沿って産業部門では着々とCO2削減が進んでいるが、ビルやオフィスなどの建築物、マンション、一戸建てなどの住宅部門はむしろ排出量が増加する傾向にあり、その削減が喫緊の課題となっている。
取得時には100万円以上の補助金が出る
そのため政府はZEHの普及を進めている。経済産業省では、2020年までにハウスメーカーが建築する注文住宅の半分以上をZEHとする目標を掲げている。まずは、技術力に優れた大手のメーカーでの導入を進め、それを中小メーカーや工務店レベルまで広げていこうとする戦略だ。
そのため、ZEH住宅への補助金制度が実施されている。年度によって補助金額は変わるが、2018年度の場合には、1戸当たり70万円で、蓄電システムを設置する場合には上限30万円、または補助金対象経費の3分の1のいずれか低い額の加算が行われた。
さらに、一段階レベルの高いZEH+に関しては、1戸当たり115万円で、蓄電システム設置の加算が上限45万円、または補助金対象経費の3分の1のいずれか低い額とされた。
毎月の光熱費が大幅に軽減されるメリットも
ZEHには、取得時に100万円以上の補助金を活用できる上、取得後の光熱費が大幅に軽減されるメリットもある。太陽光発電システムの搭載実績世界一としてギネス認定を受けている積水化学では、実際に同社でZEHを建てた人たちを対象に、光熱費をどれくらい削減できたかという調査を行っている。
2017年の実績による年間光熱費の収支をみると、電力会社からの買電は11万8000円で、電力会社への売電による収入が29万1000円。差し引きすると11万8000円の利益が出ている。
年間約12万円、10年間なら120万円、20年間で240万円だから、ZEHにすることによって取得費が若干高くなっても、先の補助金や光熱費の削減でかなりの部分はカバーできるはずだ。むしろ、一般の住宅よりトクする可能性もあるだろう。
ZEHなら家庭内事故を未然に防いでくれる
さらに見逃せないのが、エネルギーやお金以外のメリットだ。ZEHは地球や家計にやさしいだけではなく、住む人の健康にとってもやさしい住宅なのといわれている。
高断熱・高気密の住まいは、年間を通して住宅内が一定の温度に保たれ、冬場のヒートショックによる家庭内事故をかなりの確率で未然に防ぐことができる。また、気密性が高いため、外部からのウィルスや花粉、PM2.5などの侵入を防ぐ効果も期待できる。
その結果、医療費の削減にもつながり、社会的貢献にもなる。環境問題以上にこの社会貢献の効果のほうが大きいという専門家もいるほどだ。
国土交通省の資料によると、ヒートショックなどによる冬季の死亡増加率が最も低いのは寒冷地である北海道だ。次いで青森県、新潟県、秋田県なども少ない。反対に、比較的温暖な県での冬季死亡増加率が高くなっている。
つまり、寒冷地では住まいの高断熱・高気密化が進んでおり、その分家庭内事故が少なくなるということだ。これはZEHにもそのままあてはまる――つまり、ZEHは家庭内事故を防いでくれる可能性が高く、住む人にやさしい住まいなのだ。
文・MONEY TIMES 編集部
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