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米国人といっても英語のレベルはまちまちである。政治家や行政が国民向けに情報を発信する際には、国民が理解できるレベルの英語を使う必要がある。オバマ政権下の2010年にPlain Writing Actが成立し、連邦政府各省庁からの情報発信はプレインランゲージの原則に沿う必要があると定められた。
欧州連合の会議は通常「暗黙の公用語」である英語で進行するが、合意文書は各国言語に翻訳される。元となる英語文が紛らわしいと、翻訳に間違いが起きる恐れがある。
欧州議会は2020年にCitizens’ Language Policyに合意した。その目的は、欧州連合議会議員、欧州委員会職員、市民等の間で、欧州連合の24言語すべてにおいて明確なコミュニケーションを図ることである。この政策の鍵がプレインランゲージである。
プレインランゲージについて、欧米、さらには世界各国で共通の原則を確立するために、ISOは2020年に国際標準化に乗り出した。そして、2023年6月に、ISO 24495-1:2023 “Plain language — Part 1: Governing principles and guidelines”が出版された。
ISO 24495-1には四つの原則が定められている。読者は必要な情報を入手できる、読者は必要な情報を簡単に見つけられる、読者は見つけた情報を簡単に理解できる、読者はその情報を使いやすいである。このために、プレインランゲージに基づく執筆作業は、読者を明確に定めることからスタートする。