その実態を知れば知るほど誰もが絶対に遭いたくない拷問方法があるという。それは中世の城や邸宅にあったというウーブリエットと呼ばれる地下牢に放り込まれて放置されることだ――。
■“ウーブリエット”での監禁拷問
中世ヨーロッパは印刷機などの発明により、文化的および技術的に大きな進歩を遂げた時代でもあった。
その一方で中世は他の歴史的時代と比較して、最も残忍で容赦のない時代として悪い評判を受けることがよくある。ヨーロッパの中世は本当にそれほど残虐非道な時代であったのか。
一説ではそこにヴィクトリア朝の“陰謀”が働いているとの指摘もある。
Recommended by ヴィクトリア朝の人々は自分たちを近代化した進歩人と定義し、恐ろしい過去の時代から自分たちの素晴らしい新世界を切り離そうとすべく、中世の残忍さを誇張したのだとする“陰謀論”があるようだ。彼らは中世を粗暴で野蛮なものとして描くために、中世に関するあらゆる種類の神話や嘘をでっち上げたというのだ。
確かに、当初は中世ヨーロッパの残酷な拷問ギミックである「アイアン・メイデン(Iron Maiden)」(またの名を“鉄の処女”)も、19世紀になってからの捏造品であることが濃厚になっている。
しかしそうした“陰謀”ではなく、真に残忍な風習もあったようだ。それは「ウーブリエット(Oubliette)」と呼ばれる地下牢を使った拷問である。

ウーブリエットの語源であるフランス語の動詞「oublier」は「忘れる」という意味であるが、ウーブリエットでの拷問は文字通り、放置されて忘れ去られることであった。
ウーブリエットは天上に鉄格子の扉がある狭い地下室でそれなりに深く、放り込まれたが最後、絶対に自力では抜け出すことができない。鉄格子から降り注ぐわずかな光を眺め、呆然と時を過ごすことになるのだ。
排水設備もないので、そこに放り込まれた人は、自分の排泄物の中で過ごさねばならない。さらに酷いことに、ここで死んだ者の遺体がそのまま放置されていたり、ネズミやゴキブリなどが辺りをはい回っていたりもする。この一縷の望みもない地下牢に放置され、忘れ去られて餓死を迎えるのである。
