オーストリアの首都ウィーンで23日から3日間の日程で欧州最大の野外コンサート、第40回「ドナウ島祭」(Donauinselfest)が開催される。主催者側によると、「最高300万人の観衆が世界から招かれたロック歌手やグループの歌を楽しむ」という。入場が無料であることもあってティーンエイジャーたちが殺到することが予想されている(2022年は参加人数約250万人)。

「キングス・カレッジ・ロンドン」のテロ問題専門家ノイマン教授(2023月6月21日、オーストリア国営放送のスクリーンショットから)

ウィーンの治安関係者は「ドナウ島祭」がイスラム過激派の襲撃対象になる危険性があるとして特別警戒を敷いている。同祭が今回40回目という節目にあたるからではない。多数集まるコンサートでイスラム過激テロ組織がテロを実行するという情報が外国情報機関から入っているからだ。

それに先だち、先週土曜日(16日)、ウィーン各地で同性愛者のパレード「レーゲンボーゲンパレード」が開催されたが、そこに3人のイスラム過激テロ組織(IS)のシンパが襲撃する計画だったが、パレードが始まる前にテロ対策部隊(Cobra)が3人を拘束した。

3人は14歳、17歳、20歳の移民系家庭の若者たちだ。彼らはISのシンパだ。その直後、20歳は容疑が薄いとして釈放されたが、14歳と17歳の2人はニーダーエステライヒ州で拘留され、治安関係者から尋問されている。

メディアの情報によると、2人はISのシンパだが、「実際、パレードを襲撃する考えはなかった」と、テロ犯行計画を否定している。2人はインターネットでISに関心をもったという。家宅捜査では多数のナイフ、拳銃などが押収された。

英国の「キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)」で教鞭を取るテロ問題専門家のペーター・ノイマン教授は21日、オーストリア国営放送とのインタビューで、「容疑者が14歳だということはもはや異例ではなくなった。イスラムテロ容疑者の年齢は年々、低下している。ISのテロリストといえば、10年前は18歳から25歳が多く、男性だけだったが、現在はISのネットワークが壊滅されたこともあって、直接組織にリクルートされるケースは少なくなる一方、インターネット、TikTokなどの影響が大きくなり、これまで以上に若い青年たちがイスラム過激思想に惹かれ出している」と強調した。