理屈も未来も考えなきゃ、内燃機関はいとたのし

《VTEC vs MIVEC》最強の「テンロク」はどっちだ!?リッター100馬力国産スポーツ黄金期のマシンたち【推し車】
三菱MIVEC(右上・4G92)とホンダVTEC(左下・B16A)(背景:©New Africa/stock.adobe.com)(画像=『MOBY』より 引用)

モーターで走るBEVが、いかに大トルクでガツンと速いと言われても。

電車じゃあるまいしインバーター音をミュイーンと響かせ走るより、本能へ訴えるがごときエキゾースト・ノートと脳髄を刺激する震動を響かせながら、天に昇るがごとくタコメーターの回転数が上がっていく内燃機関はイイ!

頭の悪い話だと言われてたって本能に従う人生は楽しいもので、1990年代に盛んとなった可変バルブ機構によるリッター100馬力エンジン搭載車はまー楽しいものでした。

特に激しかったのは手頃な価格で楽しめる「テンロク」こと1.6リッター級スポーツで、当時大人気だったホンダの「VTEC」と三菱の「MIVEC」、そしてその搭載車について、今回は語ってみましょう。

衝撃的だったリッター100馬力、ホンダB16AのDOHC VTEC

《VTEC vs MIVEC》最強の「テンロク」はどっちだ!?リッター100馬力国産スポーツ黄金期のマシンたち【推し車】
2代目インテグラに続くDOHC VTEC版B16A搭載車となった4代目シビックはグループAレース(JTC全日本ツーリングカー選手権)で大活躍、その後5代目、6代目とシビックはテンロクスポーツ最高の名車となった(画像は4代目「グランドシビック」SiR II)(画像=『MOBY』より 引用)

1960年代にも360cc時代の軽自動車で「リッター100馬力超」を誇るエンジンは多々ありましたが、それらはグロス値、つまり吸排気系や補機類を装着しないエンジン単体での数値。

それらを装着して計測するネット値時代に入った1980年代はじめは排ガス規制対策がようやく一段落した頃で、DOHCターボでもリッター100馬力超えは厳しかったものです。

そんな中、最初は環境対策技術でしたが、高回転域での高出力と、低回転域での実用的なドライバビリティの両立を可能にしたのが可変バルブ機構。

特に有名なのが低速2、高速1と3つのカムプロフィールを切り替え、吸排気バルブタイミングとリフト量を可変させるホンダのDOHC VTECで、最初のB16Aは1989年に2代目インテグラ、次いでシビック(4代目グランドシビック)とCR-X(2代目)へ搭載されます。

1.6リッターエンジンながら最高出力はリッター100馬力に達するネット値160馬力、十分なトルクを持つ低回転域から、高速用カムプロフィールに切り替わると性格は一変、超高回転域まで気持ちよく吹け上がり、ついつい回したくなるフィーリングに人々は熱狂!

5代目「スポーツシビック」(1991年)では170馬力、メーカーチューンドである6代目ミラクルシビックのタイプR用B16Bで185馬力を発揮した頃には、テンロクスポーツ最強の座を揺るぎないものとして、1990年代「国産スポーツ黄金期」の牽引役となりました。

VTECは高回転型高出力型のDOHC VTECに始まり、本来の環境対策エンジンとしても優れた性能を発揮し、現在のi-VTECは軽自動車から高性能マシン用のDOHC i-VTECターボまで幅広く使われています。