しかし、目の前の仕事に打ち込むことが「美学」となり、待遇が悪いからといって仕事を放棄したり、待遇改善を訴えたりする人が少ない側面もなくはない。「真面目に働いていればいつかは救われる…」。そう信じている人も多いかもしれない。

「争いを避ける」日本人

日本人は面と向かって争うことを避ける。自分が悪いことをしていなくても、すぐ「すいません、すいません」と口にしたり、本音と建て前を使い分ける文化が根付いていたり…。こうした状況から、特に最近、労使関係で争いが起きにくくなっているのではないか。

国によっては、ストライキを強行するなどして待遇改善を強力に経営側に訴えるのが当たり前のケースもある。少なくとも最近の日本ではそうした雰囲気はあまりない。

待遇は勝ち取るもの

ブラック企業が無くならない理由は複合的であり、この記事ではその一部について考察してみた。「雇ってもらっている」という気持ちが強いと、なかなか経営側に強く出にくいが、「待遇は勝ち取るもの」という考え方も重要だ。あなたはどう思うだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。