危険で謎に包まれた“ダークウェブ”では何が行われているのか。専門家の協力を得てダークウェブに潜入した記者のレポートが話題だ――。

魑魅魍魎たるダークウェブのマーケットサイト

「Google Chrome」や「Microsoft Edge」などの一般的なブラウザではアクセスすることができない“裏インターネット”の世界が「ダークウェブ」である。

特別なブラウザを介してのみアクセスできるダークウェブではユーザーの身元と位置は匿名のままであり、多層暗号化システムにより追跡できないため、犯罪の温床にもなっている。

イギリス司法省は先月、ユーザー名やパスワードを含む8000万件以上のアカウントのアクセス権限を販売していた大規模な詐欺ネットワークを摘発してニュースを騒がせた。

そして今回、英紙「Daily Mail」の記者がイギリスの比較サイト「Comparitech」社のサイバーセキュリティ専門家、ポール・ビショフ氏の協力を得てダークウェブへの潜入を試みている。

専用のブラウザである「Tor(The Onion Routerの略)」をコンピューターにインストールし、“ダーク”という以前に“アウト”な数々のマーケットサイトのリンクを辿ったのである。

今回の“潜入”に用いられた「Tor」は“インターネットの自由”を擁護する一部の人々から支持されており、CIA、民間の寄付者、その他の機関によって資金提供されている実態もある。また「Tor」はエジプトなどの国のブロガーにインターネット検閲を回避する方法を提供しているとの指摘もある。

ダークウェブの閲覧は、きわめて不快なコンテンツが大量に掲載されているため、なかなか神経をすり減らす体験なのだが、一般的に言って違法薬物マーケットは人身売買などのより重大な犯罪との関係を避け、一見ごく普通の通販サイトの体を成しているという。

英紙大手がダークウェブを調査した結果がヤバい… 70万円で殺人請負、児ポで他人の人生を台無しにするサービスも
(画像=「Daily Mail」の記事より、『TOCANA』より引用)

しかしその実態は魑魅魍魎たる世界だ。何千枚もの盗難クレジットカードを販売するサイトや、児童ポルノを他人のコンピュータに送り込んで保存し、その人物の「人生を台無しにするハッカーサービス」を公然と提供しているサイトもあったという。

また最低5000ドル(約70万円)から人殺しを請け負う「世界規模のサービス」を提供する“ヒットマン”サイトもあった。

さらにアメリカの全州の偽のIDが自由に販売されているサイトにアクセスすることもできたということだ。

盗まれたPayPalアカウントも大量に販売されており、これが最近の多くのサイバー犯罪につながっている実体も判明した。

ある調査では毎日約260万人の「Tor」ユーザーがダークウェブにアクセスしていると推定されている。

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(画像=「Daily Mail」の記事より、『TOCANA』より引用)