北のオランダと南のフランスに挟まれたベルギー王国は、日本の九州から宮崎県を除いたくらいの大きさ。小国ながら、首都ブリュッセルに欧州連合の主要機関があったりと、存在感のある国です。

観光面もバラエティ豊かで、白く広い砂浜の海辺から、緑多い渓谷に城が点在する丘陵地帯、また中世の街並みが残る都市も多く、見どころに溢れています。今日ご紹介するのは、そんな「中世の街」のひとつルーヴェンです。

目次
レースのような彫刻で覆われた旧市庁舎
工事が始まるまでに見ておきたい理由

レースのような彫刻で覆われた旧市庁舎

行くなら今!お伽の国を思わせるベルギー、ルーヴェンの市庁舎
(画像=<ルーヴェン旧市街 ©Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

場所は首都ブリュッセルの東方約20km。ベルギーにはフランス語圏とオランダ語に近いフランマン語圏がありますが、ここは後者。11世紀から14世紀にかけてブラバント公国における商業の中心地として栄えた過去を持ち、ベルギー(当時はブルゴーニュ領ネーデルラント)最古の大学が建てられた大学都市です。また世界最大級のビール醸造会社が本社を置くビールの町でもあります。残念ながら両大戦の被害で失われた建造物も多くありますが、それでも旧市街を歩いていると、昔の面影をそこここに感じることができます。

そのうちなんと言っても必見なのは、旧市街の真ん中にある旧市庁舎です。後期ゴシック様式のファサードは繊細なレースのような彫刻に覆われ、ウェディングケーキを思わせます。実は私がルーヴェン観光を急遽決めたのも、この市庁舎の写真を一目見たのがきっかけでした。

行くなら今!お伽の国を思わせるベルギー、ルーヴェンの市庁舎
(画像=<北西から見た旧市庁舎©Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

1439年から30年かけて完成したこの旧市庁舎に携わった建築家は3人います。一人目のファン・ヴォルストは、ブリュッセルの市庁舎をモデルに建築計画を立てましたが、数年後に亡くなったため、別な建築家がそのあとを継ぎました。けれども彼もまた完成を見ることなく鬼籍に入り、1448年以降の建築を引き継いで完成させたのがマテイス・ド・ライエンスです。ルーヴェンの旧市庁舎を今残る形にしたのはこのマテイス・ド・ライエンスです。

工事が始まるまでに見ておきたい理由

旧市庁舎のファサードには240体近い彫刻が飾られています。彫刻を飾ることは、当初から計画にあったようですが、1469年の落成時には間に合わず、すべて揃ったのはなんと400年も経った1850年だったそうです。

行くなら今!お伽の国を思わせるベルギー、ルーヴェンの市庁舎
(画像=<ルーヴェン旧市庁舎内 ©Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

旧市庁舎の見学はガイドツアーのみです。チケット購入や予約は、隣接する観光案内所かそのウェブサイトでできます。内部もファサードから受けるイメージ通りの美しさで、ちょっとしたお城のようです。2009年までは普通に市役所として使われていたと聞いて、まるでお伽の国に役所があると聞いたかのような気がしました。

行くなら今!お伽の国を思わせるベルギー、ルーヴェンの市庁舎
(画像=<ルーヴェン旧市庁舎内ゴシックの部屋 ©Kanmuri Yuki>、『たびこふれ』より引用)

印象的な部屋は複数ありますが、その中でも「ゴシックの部屋」と呼ばれる会議場には、3つの時代のものが混在していて興味深い部屋です。すなわち、聖書の逸話にヒントを得た彫刻や絵画などの15世紀の作品、19世紀ネオゴシック様式の暖炉や扉、それと現代のデスクとチェアが共存しています。実は、2009年に市役所の行政機能が移転したのちも、市議会の集まりはこの「ゴシックの部屋」で行われているのです。

この魅力的なルーヴェン旧市庁舎見学、訪れるなら今です!というのも、旧市庁舎周辺では数年がかりの大きな工事を予定しており、工事中は見学が中断となる可能性が高いからです。さまざまな理由で工事の開始が遅れていますが、確認をとったところ、2023年6月現在の時点では、工事は2024年末に始まる予定ということでした。

ルーヴェン旧市庁舎

  • 見学可能時間:日曜~金曜の15時(オランダ語)、16時(英語)、土曜日14時はフランス語
  • 見学料:4ユーロ