登坂車線とは?

登坂車線とは、高速道路上の長い上り坂や一般道の急傾斜区間の本線左側に設置された付加車線であり、登坂車線の手前には一般道では青、高速道路ではおもに緑の標識で車線のはじまりが明示されています。
急坂ではエンジン出力や積載重量などの違いによる加速性能や登坂性能の差が顕著に現れることに配慮し、速い車と遅い車を分離させて危険や渋滞を避けるのが登坂車線の目的です。
国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」には「登坂車線のある道路では、荷物を積んだトラックなど速度の遅い車は、登坂車線を利用しましょう」と積極的な利用を促しています。
もちろん登坂車線はトラックだけでなく、どのような車でも走行可能です。ただし、登坂車線を走行する際には注意すべき点も多くあります。
登坂車線に速度制限はある?

一般道の登坂車線には、特別な速度制限は設けられていません。ただし高速道路の登坂車線は一般道と同じく法定速度が60km/hとなっている点には注意が必要です。
一般道にある登坂車線については、前後の道路と同じ速度ルールが適用されます。それに対し高速道路上の登坂車線は本線には該当せず、法定速度が一般道と同じ60km/hに制限されるため、本線に適用された高い法定速度や制限速度を保ったまま、登坂車線を走行し続けると速度超過違反で罰せられる恐れがあります。
また高速道路上の登坂車線は、速度指定がない場合に設けられる最低速度が適用されないため、50km/h以下の低速走行も認められます。
登坂車線がある道路は合流の速度差に注意
とくに高速道路の登坂車線は、本線との速度差が大きくなりやすく、合流地点で本線を走行する車を妨げたり、追突する事故が起こりがちです。そのため近年は、登坂車線を設置するよりも右側付加車線の増設が主流になりつつあります。
高速道路走行時はもちろん、一般道でも登坂車線が設けられた道路を走行する際は、それぞれの車線の速度差に注意が必要です。「登坂車線終わり」の標識を確認したら、登坂車線を走行している車は合流に備えて加速体勢を整えましょう。本線を走行している車は、遅い車が登坂車線から合流してくることに注意して走行してください。