玉城デニー沖縄知事が7月3-6日に中国訪問します。この訪問は河野洋平元衆議院議長を団長とする「日本国際貿易促進協会」の団員の一人としての参加であり、玉城氏は何度もこの訪問団には参加しているのでそれ自体は珍しくありません。
ただ、今月初めに習近平氏が福建省を訪れた際に沖縄と明時代の中国との話に振れたことから玉城知事の訪中に対して意図するものがあるのではないかと人民日報や香港の星島日報を含め、多くのメディアがこの事実に着目したために話題になっています。習近平氏が沖縄のことに言及することは珍しいとされ、その真意の探り合いとなっています。
少なくとも確実に言えることはこの訪中団、そして福建省を訪れる玉城知事は熱烈歓迎を受けるであろうことです。もちろん、それが純粋に歓迎の意であればそれは喜ばしいことですが、今の社会、そんな単純なことは起こりえない訳で中国の意図することは何か、注目せざるを得ないとみています。
あくまでも一般論としてですが、中国は沖縄には特別の思いがある、これは確実です。沖縄が琉球王国の時、明の時代から清の時代にかけて冊封関係(中国の君臣関係)を結んでいました。中国はこの冊封を朝鮮ともしっかり結んでいたことが今日の朝鮮半島関係を複雑にしている一因であります。日本とはごく一時期、冊封関係になりかけたことがありますが、すぐに止めており、歴史的には日中間はそのような君臣関係はなかったとされます。
では沖縄は誰のものか、については日本の帰属である点については疑いがないのですが、歴史的にスムーズではなかったことは事実です。1879年に琉球王国が日本になったものの割と力づくの感はありました。当然、琉球側は抵抗し、清が介入、アメリカも調停に乗り出す中、日清戦争で日本が勝利したことで外交関係がすっきりした、と言うのが流れです。ですが、先の大戦では沖縄の悲劇に関して本土もひどく焦土化したにもかかわらず、別の次元の恨みが残ってしまったことも事実です。更に戦後、アメリカに占領されたこともあり、沖縄の歴史は厳しさの連続であったと思います。