ギリシャ当局が15日発表したところによると、多数の難民を乗せたボートがギリシャ南西部で沈没、500人以上の難民が死亡した可能性があり、生存者はわずか104人だった。沿岸警備隊によると、乗客のほとんどはシリア、アフガニスタン、パキスタンから来ていたという。

引き上げられた遺体は15日にアテネに運ばれ、DNAサンプルなどを使って遺体の身元確認が試みられた。これまでに78人の遺体が回収された。生存者によると、ボートには最大750人が乗っていた。ギリシャ沖ではここ数年で最悪のボート事故となった。

コンゴの域内避難民(UNHCR公式サイトから)

ギリシャ当局の報道官によると、ギリシャ沿岸警備隊と通行中の貨物船は無線でボートの乗組員に救助を申し出たが、乗組員はイタリアに行きたいという理由でその申し出を拒否したという。

メディアの報道によると、ギリシャ政府は3日間の国民服喪を宣言する一方、同国最高裁判所は事故原因の調査を命じた。当局によると、過積載の漁船(難民ボート)はエンジンが故障し、船内で集団パニックが発生、超満員の船はバランスを失い、転覆し、わずか10分~15分以内に沈没したという。

多くの乗客は泳げず、救命胴衣を着ている人はほとんどいなかった。甲板の下にいた人々は、外へ逃げることができなかった。その中には多くの女性と最大100人の子供が含まれていた。事故現場はギリシャのペロポネソス半島の南西約50海里にあり、地中海で最も深い海域だ(5000メートル以上)。

ギリシャ国営放送(ERT)の報道によると、9人が逮捕された。港湾局によると、逮捕されたエジプト人9人には漁船の船長も含まれている。容疑者らは港湾都市カラマタの検察に出廷することになっている。

港湾当局によると、船はエジプトを出発し、リビアのトブルク港で移民らを乗せ、その後イタリアに向けて航路を定めたと言われている。逮捕者らは人身密輸業者の疑いがあり、乗客らはその代金として1人当たり5000~6000ユーロを支払ったという。

ギリシャの難民ボートの沈没事故を聞いて、欧州に北アフリカ、中東から難民が殺到した2015年前後の時を思い出した。マルタのジョセフ・ムスカット首相(当時)が2013年10月12日、イギリスのBBCとのインタビューの中で、「欧州連合(EU)は空言を弄するだけだ。どれだけの難民がこれからも死ななければならないか。このままの状況では地中海は墓場になってしまう」と警告したが、同首相の嘆きは、イタリア最南端の島ランペドゥーザ島沖で13年10月3日、難民545人が乗った船が途中火災を起こし沈没し、360人が犠牲となった事故直後に飛び出したものだ(「地中海が本当に墓場になった!」2015年4月21日参考)。