(マイナス費目)
・ガソリン・スタンド→2.6%減と8カ月連続で減少、前月は0.9%減 ・雑貨→1.0%減と過去4カ月間で3回目の減少、前月は1.9%増 ・服飾→微減で4カ月ぶりに減少、前月は0.1%増
チャート:米5月小売売上高、スポーツ用品/書籍/趣味とガソリンが下押ししつつ13業種のうち7業種がプラス
(作成:My Big Apple NY)
小売売上高の前年同月比は1.6%増と、2020年6月以降の増加トレンドで最小の伸びにとどまった前月の1.2%増を上回った。
チャート:米5月小売売上高、前年比の伸びは2020年6月以降で最小だった前月から小幅改善
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――小売売上高は2カ月連続で増加しましたが。背景には米5月CPIで明らかになった通り。税還付の効果が考えられます。自動車・部品が伸びていましたが、米5月CPIでは中古車の価格が2カ月連続で前月比4.4%と上昇していた動きと整合的ですよね。こちらで説明しましたように、中古車の価格は税還付を受けた5月に上昇する傾向があり、2017年以降の平均で2.1%上昇と突出しています。
チャート:米5月CPI、中古車の価格は2017年の平均値で5月が最も高い
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また、建築・園芸や家具など、高価格帯の費目も増加していただけに、税還付を受けた大口の買いが入ったと考えられます。
物価上昇分を取り除いた実質ベースでも前月比0.2%増と、名目ベースであるヘッドラインと同様に2カ月連続で増加していました。逆に言えば、来月から反動が出る可能性に注意したいところです。
チャート:実質ベースの小売売上高、名目以下でヘッドラインの結果はインフレの押し上げ効果を示唆
作成:My Big Apple NY)
米5月小売売上高は確かに好結果でしたが、6月以降に反動で減少するならば米金利とドルを押し上げなかったとしても、おかしくありません。
何より、これ以外の米指標結果は芳しくありませんでした。
〇米新規失業保険申請件数、2021年10月以来の高水準を維持
米新規失業保険申請件数は26.2万件と、市場予想の20万件を超え、2週連続で26万件超えだったのです。26万件台と言えば、2021年10月以来の高水準であり、労働市場の減速が否が応でも意識されます。
チャート:米新規失業保険申請件数、前週に続き2021年10月以来の高水準
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〇米6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、ISMと同じく分岐点割れを保つ
米6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス13.7と、前月の-10.3に続き分岐点のゼロを大幅に下回りました。7カ月連続で分岐点の50を割り込んだ米5月ISM製造業景況指数に沿い、製造業活動の減速を示唆します。米6月NY連銀製造業景況指数は6.6と、前月のマイナスから大幅改善しましたが、NYは振れが大きく、且つNY州やNY州の製造業の割合が5-8%と低いように、あまり参考にならないため、フィリーの弱さに注目すべきでしょう。
チャート:製造業景況指数、NY以外はそろって分岐点割れ
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