黒坂岳央です。

現代は「ストレス社会」と言われる。とにかくストレスは悪であり、ゼロに近づけることが理想みたいな意見を見ることがある。だが、人間心理はそう単純なわけがない。本稿では人生を良くしてくれる必要なストレスと、その逆にダメにしてしまう悪いストレスについて独断と偏見で取り上げたい。

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良いストレスの具体例

まず良いストレスについて言えば、行動力を生み出したり成長を促してくれる類のものである。

自分の経験について言えば、人前で話す時はいつも強いプレッシャーがかかると感じる。講演会に呼ばれたり、自ら企画したセミナーでもそれは同じだ。

これは「やりたくない」と後ろ向きな気持ちを感じているのではなく、むしろ自らやりたくて率先してやる。それなのにプレッシャーを感じるのはなぜか?その理由は「わざわざ話を聞きに来てくれた人を、絶対に失望させたくない!なんとしても満足して帰ってもらいたい!」という気持ちが強すぎて、それがそのまま自らプレッシャーに感じてしまうのである。

結果、いつもは食べないように控えることができているのに、こうしたイベント前は甘いものをたくさん食べてしまうという事が起きてしまう。

また、新しい仕事に挑戦する時もいつもプレッシャーやストレスを感じる局面はある。最初は分からないことだらけであり、失敗もよくする。事前に分かっていても苦しさを感じる場面はやっぱりゼロではない。慣れ親しんだ得意な仕事と比べるとうまく行かないことは多い。これも自ら望んでやっている活動にプレッシャーを感じているのだ。

しかし、こうしたストレスは長期的に見れば、ポジティブな結果をもたらしてくれる。件の人前で話す仕事もしっかり練習を重ねて本番に挑んでトラブルなく終えることができ、時には「お話、とてもよかった」と参加者から称賛の声をもらうととてもホッとする。

新しい仕事も最初は苦しいが、後から振り返ってみると苦しさの中からはたくさんの気づき、知識、技術を持ち帰る事ができてきた。過去には顔から火が出るような失敗もたくさんしてきたが、そこから学びを得て徐々に成長もある。だからこのような類のストレスはむしろ、自ら買ってでも付き合い、そして自己成長を経て解決していくべきだと思うのだ。