「高雄國家體育場(高雄国家スタジアム・Kaohsiung National Stadium)」は、2009年に開催されたワールドゲームズの為に建設され、最大で5万5千人の観客を収納できるスタジアムです。大型のコンサート会場としても使用されることが多く、コンサート時には屋台がでるのも特徴。コンサートと同時に台湾グルメが味わえるのも魅力です。今回は、「高雄國家體育場」の見所や楽しみ方をご紹介します。
「高雄國家體育場」について
「高雄國家體育場」は、高雄市中心部から見て北方に位置しています。高雄捷運(MRT)レッドライン「世運」駅下車、1出口を出て、「世運大道」を10~15分ほど歩いていくと到着します。
2009年に完成した「高雄國家體育場」は、過去にワールドゲームズが開催されたため、「高雄世運主場館(ワールドゲームズメインスタジアム)」とも呼ばれています。区画面積189,012平方メートル、連続螺旋型、スパイラル状の独特で躍動的な外観が目を引くスタジアムは、日本人建築家である伊東豊雄氏、竹中工務店、劉培森建築師事務所によるものです。屋根のない開放感のあるオープンスタジアムは、季節風等を考えて設計されているため、自然換気ができる風通しのよいスタジアムとなっています。
建物は、グリーンビルディングで、再生建材などを使用しているのが特徴です。また、太陽エネルギーによる省エネシステムを採用。屋根には、8,844枚の遮光性のソーラーパネルが配置され、通常は余った電力は電力会社へ送り、イベント開催期間は、約70%の電力をまかなっています。毎年少なくとも110万度の発電量が得られているそうです。
2022年からは左営スポーツセンターともなり、大型のイベントやコンサートに使われるだけでなく、都市公園としても機能しているスタジアムは、休日は市民の憩いの場ともなっています。
スタジアムの環境
グリーンシステムを重視したスタジアムは、建物が自然と一体化するように造られています。都市公園として造られているだけあって、スタジアムの周囲は、緑地生態環境の質を高める為の景観を重視しています。その1つが東側に2つある生態池。河の上流、中流、下流で異なる景色になるように、急流、滝、湖、孤島と湿地などが表現されています。水源は、競技場と公園で貯水した雨水で、歩道脇の草生水路に沿って石積みの渓流と生態池まで流れています。豪雨の時には、この生態池が調節池としての役割を担っています。
海抜の低い森林や熱帯雨林などに囲まれた渓流や岸などは、自然の石を穴や隙間がたくさんできるように積み重ねたり、緩やかな斜面にし、自然を真似て造ることで、池の養分を吸収し生物や植物が自由自在に生長し、酸素を作り出す環境を考えて設計されています。
また、スタジアムの周りを取り囲むように緑が植えられていますが、北側と東南側は複層林を造成していて、その面積は12,600平方メートルもあります。時間がある方は、周辺を散歩しながら回ってみてくださいね。