他チェーンで再現できないほどの価値を見つけることはできない

とんかつはスーパーの惣菜コーナーで300~400円ほどで売られており、ココイチの『手仕込とんかつ』はトッピングのメニューを見ると502円なので、相応の価格だといえます。ココイチのライスはカレー専門店らしく比較的水分が少なめになるように炊かれており、食べやすくなっています。この点はカレー以外の商品をメインで扱うチェーンに対するココイチの優位点となっています。

6月に都内のある店舗を訪問すると、ほとんどのお客が何かしらのトッピングを加えた商品を注文していました。後日訪問した別の店舗は13席しかなく、満席のため少し待ちました。同じく『手仕込とんかつカレー』を注文しましたが、カレールーは前の店より口当たりが多少緩く、店舗により商品の仕上がりが異なっているようです。

他チェーンと比較すると、価格妥当性は格段に低くなります。ルーの持つ味のクオリティが他社と同じであり、カレー専門店としての優位性を感じられないことも理由のひとつですが、とんかつなどの揚げ物をメインとするチェーンのカツカレーと比較してみると、意外な実態が見えてきます。

たとえば「かつや」の「カツカレー」(梅:759円、竹:957円)は、さすがに揚げ物専門店らしくロースかつのサイズや肉の厚さは圧巻です。ルーは、ココイチやマイカリー食堂のものと比べ、ほぼ遜色ないレベルに仕上がっています。オーバル皿で提供され、サイドにキャベツも盛られており、カツカレーとしてだけではなく「かつご飯」としても楽しむことができます。ロースかつ2枚重ねのカツカレーを注文しても、ココイチの「手仕込とんかつカレー」と同じくらいの金額です。

カツカレー、千円超えのココイチに957円「かつや」が満足度・圧勝と評価の根拠
(画像=「かつや」の「カツカレー(竹)」、『Business Journal』より引用)

また、マイカリー食堂(松のや併設)で「手仕込みロースかつカレー」(690円)を注文してみましたが、ルーはココイチや「かつや」と同様のテイストでした。揚げ物業態の「松のや」併設店ゆえに揚げ物のクオリティもかなり高いレベルにあると感じました。ルー、ご飯、とんかつが混ざっていない状態で提供されます。個々の味を楽しみながら、また合わせながら食べることができます。

総合的に見ると、カレー専門店であるココイチには、ご飯の量や辛さを選べるという点を除けば、他チェーンで再現できないほどの価値を見つけることはできませんでした。そして、とんかつとルー、そして価格の面において「かつや」に軍配があがると評価できます。

ちなみにココイチの「手仕込とんかつカレー」と「ロースカツカレー」の違いについて店員に聞いたところ、「手仕込とんかつカレー」は冷凍状態で店舗に納品された肉を解凍し、スタッフの手によってパン粉などをつけて仕込みをすることから 「手仕込」と呼んでいるとのことでした。

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?