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レースでは32GT-Rすら脅かした意外な実力派
ネタ化に拍車をかけたフェイスリフト
レースでは32GT-Rすら脅かした意外な実力派

他にも自然吸気仕様MT車ですら1,640kg、ツインターボ車では1,700kg(発売時)に達し、ベース車である4ドアサルーンの初代ディアマンテ(30Rで1,670kg)より重く、全幅1,840mmに達するワイドボディなど、「デカくて重い」という印象が強かったGTO。
まかり間違っても他の国産スポーツとコーナリング勝負、特にワンディングのダウンヒル勝負など無謀もいいとこだと言われていましたが、だからといって何もかもが劣っていたわけではありません。
3リッターDOHCツインターボ版の6G72エンジンは国内向けカタログスペックが自主規制により公称280馬力とされていましたが、三菱3000GTの名で販売された北米仕様では当初300馬力、後には320馬力以上を発揮。
最大トルク42.5kgf・m(後に43.5kgf・m)もトヨタの80スープラ用2JZ-GTE(43.5kgf・m、後に46.0kgf・m)を除けば国産3リッター級スポーツ最強、わずか2,500rpmから発揮する最大トルクを三菱自慢のフルタイム4WDシステムで受け止めます。
おかげで加速性能ではBNR32スカイラインGT-Rや初代ホンダ NSXすら上回ったほか、悪条件ほど有利になるため、クルマ雑誌では「雪道でのゼロ加速性能比較」に出るのが冬の風物詩。
「速いのは直線ばかりじゃない!」と挑んだN1耐久レースでは、さすがに重すぎて終盤ブレーキがヘタるも、約70万円もするAPロッキード製6ポットキャリパーを純正オプションで準備、ブレンボ4ポットキャリパーのスカイラインGT-R VスペックII N1へ対向しました。
その結果、たった1度とはいえ優勝…しかけた事もあり、惜しくもその2位が最上位だったとはいえ、今のスーパー耐久より改造範囲が狭い時代のN1耐久でスカイラインGT-Rを追い込めたマシンは、GTOくらいだったと思えば大したものでした。
これで車名通りにJGTC(現・SUPER GT)にも参戦していれば面白かったかもしれませんが、メジャーなモータースポーツシーンにおけるGTOの活躍はN1耐久のみにとどまったのが少々残念です。
ネタ化に拍車をかけたフェイスリフト
北米ではともかく、国内では焼け石に水のマイナーぶり

1993年8月にはエンジンの最高出力/最大トルクともに向上(国内での最高出力は公称280馬力のまま)、定評のあったゲトラグ製5速MTの6速化(ツインターボ車のみ)、1994年8月には通常のツインターボ車より60kgも軽くした「MR」グレード追加など進化。
6G72チューンはあまり流行らず、チューニングベースの名機として鳴らした日産 RB26DETTやトヨタ 2JZ-GTEほど人気がなかったとはいえ、見た目のカッコよさや低回転からの太いトルクによる乗りやすさなど、市販GTとして悪いクルマではありません。
ただし、インターネット老人会の世代なら覚えがあるであろう、ネットスラングやコピペネタで有名な「白くてフルエアロでNAのGTO」など、どちらかと言えば「ネタ扱いの迷車」扱いされる事が多いのも事実です。
結局日本では常にスカイラインGT-Rや80スープラ、NSXに対してマイナー扱いで売れなかったから…と言ってしまえばそれまでですが、2度のフェイスリフトで外観が大きく変化したのも、大きく影響しているかもしれません。
最後のフェイスリフトも国内では「まだ売ってたのか」

リトラクタブルヘッドライトから固定式ヘッドライトになった、1993年8月以降の中期型ではN1耐久レースの活躍もあってそう悪いイメージでもないのですが、末期の1998年8月に敢行した、かなり大胆なイメージチェンジがどうも今ひとつ?
開口部を大きく取って冷却性能を上げたフロントバンパー、ブラックアウトされたヘッドランプユニット、そして大型リアスポイラーといった「今更ながらの高性能スポーツ風」が、高級高性能GTとしては若々しすぎて、チグハグな印象を与えてしまいます。
その頃になると「GTOってまだ売ってたんだ?!」という扱いでビッグマイナーチェンジもただ驚かれただけですが、その後も時々ネタ企画で紹介される程度で2001年8月生産終了、GTOは三菱最初で最後の大型GTとなりました。
スバルのアルシオーネSVXもそうでしたが、根本的には「決して悪いクルマではないのだけど、三菱のブランドイメージからすると、背伸びしすぎたクルマ」だったかもしれません。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY
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