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これまで、国立感染症研究所(感染研)から発表されるわが国の超過死亡は、全年齢層を一括して計算されているが、年齢によって死亡率が違うし、コロナワクチンの接種率も小児と高齢者とでは異なる。

また、感染研から発表される超過死亡は、Farringtonアルゴリズムで推定される予測死亡数と実際の死亡数との差から予測閾値を算出し、最小値と最大値で表示されている。欧州連合統計局(Eurostat)では、新型コロナの流行が始まった2020年から2022年の超過死亡を、流行する前の2016年から2019年の死亡数の平均値との差で算出している。今回は、比較に便利なEurostatの方法で超過死亡を検討した。

まず、わが国の人口動態統計のデータを用いて、年齢別の超過死亡を検討した。わが国では、新型コロナの流行は2020年の1月から始まり、コロナワクチンの接種は2021年2月から開始された。

超過死亡は、2020年、2021年、2022年の全死因による死亡数と、2016年から2019年の年間死亡数の平均値との差を計算し、平均値に対する割合で示した。全年齢層における4年間の年間平死亡数の平均値は1,347,644であった。

2020年、2021年、2022年の死亡数は、それぞれ、1,372,755、1,439,856、1,568,961で、超過死亡は、25,111(1.9%)、92,212(6.8%)、207,641(15.5%)であった。超過死亡は、ワクチン接種が始まった2021年以降、とりわけ、2022年の増加が著しい。

図1には、わが国における各年齢群の超過死亡を示す。全年齢層で15%の超過死亡が見られた2022年においても、0、30、40、60歳代では、-23%、-9%、-6%,-16%と超過死亡は見られていない。

図1 日本における年齢別の超過死亡

図2は、ドイツにおける年齢別超過死亡を示す。ドイツにおいても、新型コロナの流行は2020年の1月から始まり、コロナワクチンの接種は、2021年1月から開始された。全年齢層における2020年、2021年、2022年の超過死亡は、4,015(0.4%)、3,3980(3.4%)、10,64,084(6.6%)であった。

ドイツにおいても、2021年以降、とりわけ、2022年の増加が顕著である。超過死亡は日本と同じく年齢によって異なり、小児と50代では過少死亡か超過死亡があってもわずかであった。(Cureus 15(5):e39371.DOI10.7759/cureus.39371)

図2 ドイツにおける年齢別超過死亡

図3は2022年における年齢別超過死亡数の絶対数を示す。

60歳未満の死亡数は-2,1246と過少であり、超過死亡のほとんどが70歳以上の高齢者、とりわけ、90歳以上であった。

図3 2022年における超過死亡の年齢分布

図4には、超過死亡が見られた70歳以上の年齢層において2013年と比較した過去10年間の死亡数の推移を示す。

90歳以上においては、過去10年間一貫して死亡数の増加が見られており、2020年に一旦増加率は減少したものの、2021年からの増加率は更に急峻になっている。70〜74歳と85〜89歳は、緩やかに増加カーブを描くも、2021年以降は、それ以前と比較して急峻な増加が見られた。