シャシー

サスペンションもエアロダイナミクス対策が徹底されている。ホイールアーチは強力な気流にさらされるため、ダブルウィッシュボーン式サスペンションのコンポーネントは、翼断面形状となっている。この空力的なサスペンション・リンクは、トップスピードでフロントアクスルのダウンフォースを約40kg増加させる効果がある。トレッド幅は911 GT3より29mm広く、そのためサスペンション・リンクもそれに応じて延長されている。

高速からのブレーキングでもフロントとリヤアクスル間のダウンフォースバランスが維持されるように、ブレーキング時のピッチングを大幅に減少させている。フロントのロワトレーリングアームのボールジョイントがフロントアクスルの低い位置に設定され、リヤのマルチリンク式サスペンションも専用チューニングされ、スプリングレートが変更されている。もちろん運転支援システムとリヤ操舵システムも、よりダイナミックなセットアップとなっている。

911 GT3 RSの走行モードは、ノーマル、スポーツ、トラックという3種類が設定されている。トラックモードでは、基本的なコンポーネンツ設定を個別に選択調整することができる。中でも、フロント、リヤのダンピングは、個別に数段階に分けて調整することが可能だ。また、リヤ・ディファレンシャルのLSDは、ステアリング・ホイールのロータリー・コントロールで調整することが可能。これはモータースポーツからの流用で、素早く直感的に操作できる。

ポルシェ 新型「911 GT3 RS」ワールドプレミア【動画】
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

ステアリングホイールには、4つのロータリースイッチとドラッグ・リダクション・システム(DRS)用のボタンが配置されている。回転式コントロールは、調整中にメーターパネルにグラフィックで明確に表示される。911 GT3譲りのトラック表示も装備。ボタンに触れるだけで、ドライバーは2つの7インチ・サイドディスプレイに必要な情報だけをデジタル表示できる。アナログタコメーターの左右にあるギアシフトインジケーターも、GT3譲りである。

パワートレイン

水平対向6気筒4.0Lの高回転自然吸気エンジンは、911 GT3と比較してさらにチューニングされている。525psへの出力向上は、主にカムプロファイルを変更したことで達成されている。シングルスロットル吸気システムとダイレクト・バルブ駆動は、モータースポーツに由来するタイプだ。

7速のポルシェ・ドッペルクップルング(PDK)は、911 GT3よりも全体のギア比がクロスレシオ化されている。またアンダーボディのPDK用エアインテークは、サーキットでの頻繁で極端な負荷にもトランスミッションを冷却し耐久性を向上されている。

動力性能は0-100km/h加速が3.2秒、7速で296km/hの最高速度に到達する。フロントのブレーキは6ピストンのアルミニウム製モノブロック対向キャリパー、直径408mmのブレーキディスクが組み合わされている。911 GT3と比較して、ピストンの直径は30mmから32mmに拡大され、ディスクの厚さは34mmから36mmに拡大されている。

リヤは380mmのブレーキディスクと4ピストンの対向キャリパーを装着。オプションのポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)は、フロントアクスルが410mmディスク、リヤは390mmディスクを採用する。またホイールロックは、鍛造軽合金製センターロックホイールが標準装備されている。タイヤはフロントは275/35 R20、リヤは335/30 R21の公道走行可能なスポーツタイヤで、卓越したグリップを確保している。